重複投薬・相互作用等防止加算の点数は、薬学的理由の場合は40点に上がります。残薬調整の場合は30点のまま変わりません。
「疑義照会したけど算定は大丈夫かなあ」
薬学的理由とか、ややこしすぎる算定要件について、月30件重複投薬・相互作用等防止加算を算定している現役薬剤師HAMAYOが語ります。
「今回のケースって算定できるのかな」
「残薬以外の算定例ってどんなの」
算定方法を詳しくまとめたので公開します!残薬以外で算定するときの算定例もあるので、ぜひ参考にしてください。
1.残薬で算定する流れ
平成30年度調剤報酬改定から処方せんに「減数調剤をしても良い旨」の記載があれば、疑義照会をしなくても薬剤師の判断で残薬調整できるようになりました。
各地で進んでいる疑義照会簡略化における残薬調整の取り決めもあり、残薬をより早く的確に減らしましょう!
- 残薬を確認する
- 残薬の対応を確認する
- 1-3.減数調剤をしても良い旨
- 重複・相互加算を算定する
残薬があるか確認をして、減らして欲しい薬を把握します。どのように聞き出すかはコチラを参考にしてください。
さらに効率的に残薬を聞き出したいあなた!コチラの指導せんを使うと、次々に算定できるようになります。
処方せんを確認して、残薬の対応を確認します。医療機関に応じて、取り決めがある場合はそちらに従ってください。
1-1.疑義照会をした上で調剤
従来どおり、医師に疑義照会をしたうえで残薬調整をおこないます。日数調整がされたら、重複・相互作用防止加算を算定できます。
例)○○を残薬のため○○日に日数変更する(削除する)
1-2.情報提供の場合
残薬状況を聞き取りして、次回診察時に医師に日数調整をしていただきます。この場合は、重複・相互作用防止加算ではなく服薬情報等提供料を算定する。
残薬をすぐに調整して欲しいときは、あらかじめの取り決めがない場合、疑義照会が必要です。疑義照会をして日数調整がされたら従来どおり算定できます。
病院と疑義照会簡略化の同意書を交わしていなくても、薬剤師の判断で残薬調整ができます。この場合、疑義照会をしていないので重複・相互加算ではなく、服薬情報等提供料(医師の指示あり)30点の算定が適切だと思われます。
京大病院では備考欄に、「残薬調整し調剤後にFAXで情報提供」という記載があり、これが減数調剤をしても良い旨にあたります。
情報提供・減数調剤で算定できる
服薬情報等提供料の算定方法まとめ!
会計画面で重複・相互作用防止加算(30点)を算定します。負担金額が加算前の金額を超えるときは良心的に算定しないほうがいいでしょう。
「残薬を減らしたのに負担が上がるとはどういうことだ!」とクレームになりかねません
2.残薬以外で算定する流れ
重複・相互防止加算は、飲食物・アレルギー歴・副作用歴・既往歴といった薬歴から推測される相互作用について疑義照会をして処方変更になったときも算定できます。
同一医療機関・同一診療科からの処方せんでもいいので、疑義照会をして薬が削除されたらほぼ算定できると考えます。場合によっては、処方が追加されたときも算定できます。
- 相互作用を確認する
- 疑義照会をする
- 重複・相互を算定する
薬歴とお薬手帳の履歴から重複が見つかることで算定することが多い。特に抗アレルギー薬や風邪薬は定期薬と重複することが多いため注意が必要です。
2-1.算定可能例
薬学的に疑義照会に至った経緯が適切であれば、すべて算定できると考えていいでしょう。
⦿ 疾患禁忌薬が削除・変更になる
例 : 緑内障の患者へのトラベルミン処方が削除になる、またはメリスロンに変更になる。
⦿ 同一診療科の処方せんで重複のため削除・変更になる
例 : タケプロンとガスターが処方のためガスターが削除になる。
⦿ 過敏症歴のため薬が削除・変更になる
例 : セフェム系過敏症の患者へのフロモックス処方が削除になる、またはクラリスに変更になる。
⦿ 腎・肝機能低下のため用量変更になる
例 : 腎機能低下のためガスターの用量が減量される。
⦿ 併用注意のため用法が変更になる
例 : マグミットでクラビットの効果減弱のため用法が変更になる。
⦿ 食後から食前に変更になる
例 : 漢方食後投与では十分な効果が期待できないため食前に変更になる。
⦿ 生活状況により削除・変更になる
例 : 車の運転が避けられないためタリオンからアレグラに変更になる。
⦿ 薬学的理由のため処方追加になる
例 : 抗生物質で下痢するおそれがあるため耐性乳酸菌が追加になる。
⦿ 薬学的理由のため日数が増える
例 : タミフル3日分では治療日数が足りないため5日分に増える。
2-2.算定不可例
薬局都合による変更、記載ミスでは算定できません。処方忘れや日数延長で算定する場合も「患者都合のため」では算定できない!
⦿ 薬局都合により薬が変更になる
例 : 在庫がないため、類似する医薬品に変更になる。
⦿ 処方箋の記載ミス
例 : 規格忘れ、剤形忘れ、など
⦿ 受診日までの日数あわせ
例 : 次回受診日までに処方日数が足りないので、日数が延長になる。
⦿ 特定保険材料の残薬を調整
例:インスリンの針や在宅で使う医療材料の残薬を調整する。
従来どおり、医師に疑義紹介をする必要があります。個別指導で指摘されないために、薬歴に疑義照会の詳細を記載しておきましょう。
例)アレルギー歴のため○○が削除になることを医師確認済
平成30年度調剤報酬改定より、残薬以外の理由の場合の点数は40点に上がります。
例のように処方変更がされたときだけ、会計画面で重複・相互作用防止加算(40点)を算定します。もちろん負担金額が加算前の金額を超えても算定しましょう!
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3.まとめ
平成30年度調剤報酬改定から重複・相互防止加算は算定要件が変わり、点数も上がります。疑義照会をしたとき、残薬を確認したときは算定できるか必ず確認しましょう。
参考資料:
平成30年度診療報酬改定の概要:厚生労働省保健局医療課