服薬指導で質問をするとき、あなたは内心「ないだろう」と思って質問していませんか?だから患者さんは「ない」と答えてしまう。いや、そう仕向けている!
質問はニュアンスを変えるだけで、患者さんの受け取り方はまったく違ってきます。
1.達人の服薬指導術
達人の服薬指導術を会得するにはどのようなスキルが必要なのだろうか?ヒントは営業・コーチングの技術にある。あなたが本気で服薬指導を良くしたいと思うならこの2つのスキルはとても役に立ちます。
1-1.営業スキル
かかりつけ薬剤師・ジェネリックのご紹介など、患者さんに提案をするときに使えるスキルです。ただ闇雲に提案するのと、確かなスキルによって提案するのとでは雲泥の差があります。
これまで紹介してきた営業スキル例
1-2.コーチングスキル
患者さんの目標は「病気を治す・改善させるコト」、薬剤師がその手助けをするときに使えるスキルです。目標を達成するために必要な知識・行動を引き出すには確かなスキルが必要!実は、それがコーチングのスキルにあります。
2.質問力を磨く
どのような質問をするかで、いい意味でも悪い意味でもヒトを行動させるコトができる。質問をするときは必ず守らなければいけない原則があります。それは必ず「ある前提」で質問をするコトです。
2-1.ない前提の質問
このようにYES・NOで答えられる質問はクローズドクエスチョンと呼ばれます。患者さんの頭の中にはYESかNOが浮かび、どちらかを選択します。たいていNOと言われることが多いでしょう。
このようにYES・NOで答えられない質問はオープンクエスチョンと呼ばれます。患者さんは少し考えますが、質問の内容がオープンすぎると、結局何も見つからず「別にかわりないよ」って答えます。
これら2つの質問では、患者さんが薬剤師からの質問の答えを探しに行かないという問題があります。質問のニュアンスに「ない前提」があるからこのような現象が起こってしまう。
2-2.ある前提の質問
コーチングスキルから学んだのは、答えがない前提をなるべく排除して質問するコトです。患者さんには、答えがある中から選んでもらう!すぐに見つからなくても答えを探しに行ってもらえるような質問をする必要があります。
3.服薬指導での活用方法
初めて降圧薬を服用する患者さんに服薬指導をするとき、あなたはどのように質問しますか?
本日、新患でこのような処方せんを持ってこられました。
アムロジピン錠5mg 1錠
朝食後 28日分
さぁ、第2の質問はどうしますか?
3-1.第2の質問
副作用・生活習慣の改善・飲み忘れた時の対応方法・降圧薬を飲む必要性、などいろいろ指導すべきコトはあります。では初回には何を指導するのが一番いいのか?答えは患者さんが持っています。
わたしの答えは悩みの確認です。率直に何が悩みなのか聞いてみます。しかし、先ほどコーチングスキルを教えましたよね?ニュアンスを変えましょう。
先ほどの質問から「ない前提」を排除しています。少し質問のニュアンスを変えるだけで、驚くほど患者さんは答えを探してくれます。
悩みがあれば、その解決方法を指導する。悩みがなければ、ラポールが構築されるまでひたすら情報提供します。
3-2.どんなこと・・・
何かを患者さんから引き出したいとき、話法のポイントは「どんなこと・・」です。みなさんも普段の服薬指導で少し意識してみてください!
- 食事はどんなことを気をつけていますか?
- お薬でどんなことが気になりましたか?
- どんな運動ならできそうですか?
まとめ
質問のニュアンスを変えるだけで驚くほど服薬指導が変わってしまう。キーワードは「どんなこと」です!