コーチングに学ぶ服薬指導の質問力「価値観」のポイント

「薬だけを見て、患者を見ていない服薬指導」をする薬剤師がよくいます。患者の悩みに対して、薬剤師の価値観でお話をすることは最悪です。あなたもこんな服薬指導をしていませんか?

1.よくある服薬指導の光景

ある日、いつも来ている患者さんからこのような質問をされました。患者の悩みとしてはよくある質問だと思います。

処方例
アムロジピン錠5mg     1錠
カンデサルタン錠8mg    1錠
クロピドグレル錠75mg   1錠
ラベプラゾール錠10mg   1錠
朝食後            28日分
患者
お薬を飲みたくないんやけど、やめたらダメかな?

たいていの薬剤師はこう答えます。

薬剤師
こちらのお薬をやめると心筋梗塞になるリスクが上がるので、やめたらダメですよ。

あなたならどのように答えますか?

1-1.価値観の強要

薬剤師が思いえがく患者像に持っていこうとしています。いわゆる価値観の強要です!もしくは、あなた自身を守るためこのように言っている。

お薬をやめたらダメなことくらい患者も分かっています。だから、あなたにどうしたらいいか聞いているんですよ!

1-2.誘導型服薬指導

患者はこうあるべきという先入観にとらわれて服薬指導をすると、誘導型の質問ばかりになります。このような質問をよくする薬剤師は考えが偏ってきているかもしれない。

誘導型質問例

  • 体調は変わりありませんか?
  • DO処方だから、体調は変わりないと決めつけて質問している。

  • 飲み忘れはありませんか?
  • 受診間隔が妥当だから、飲み忘れはないと決めつけて質問している。

  • こんな副作用はありませんか?
  • 薬の変更がないから、副作用がでていないと決めつけて質問している。




スポンサードリンク

2.本質を探る服薬指導

患者さんから悩みを言われたとき、改善策を提案することがすべてではない!患者さんに改善策を探してもらうコトに本質があります。

2-1.本質を考える

先ほどの患者の悩みの本質を考えてください。あなたがいきなり「薬をやめるのばダメ」と言ったのが、いかに愚かか分かります。

薬を飲みたくない本質

  • 薬の数が多い
  • 経済的につらい
  • 医師との相性が悪い
  • 薬を飲む意味が分からない
  • 副作用がつらい
  • 受診するのが面倒くさい

2-2.価値観の排除

コーチングで言えば、あなたの価値観は排除して服薬指導をするべきです。患者はこうあるべきという前提は一切なくす!HAMAYOならこのように答えます。

患者
お薬を飲みたくないんやけど、やめたらダメかな?
HAMAYO
確かにお薬を毎日飲むのは大変ですよね。○○さんはどうしてお薬をやめたいと思っているのですか?

2-3.認知型服薬指導

すべての患者に当てはまる解決策はありません。患者の悩みの解決策は患者自身が持っているという考えで服薬指導してみてください。

患者個々に生活があれば、解決策も個々に違う。患者に考えさせる質問を心掛けましょう。

認知型質問例

  • どんなお薬なら飲もうと思いますか?
  • 薬を飲みたくないという患者の本質を探ります。

  • どんなことが不安に思いますか?
  • 薬・副作用を不安に思う患者の本質を探ります。

  • どんなときに飲み忘れますか?
  • 飲み忘れが多そうな患者の本質を探ります。

3.薬のプロ × 会話のプロ

薬剤師の世界では日常のコミュニケーションではあり得ないことが普通に起こっています。

3-1.服薬指導の現実

服薬指導ではこのような会話が違和感なくおこなわれている。

患者
もうお薬をやめたくて、どう思いますか?
薬剤師
このお薬をやめたら病気が悪化してしまい、合併症のリスクもあるので、やめたらダメですよ。

3-2.日常会話との違和感

親友・恋人から真剣に相談を受けたとき、くわしい話も聞かずに価値観を押し付けることはしないはずです。

親友
もう仕事がしんどいから辞めたくて、どう思う?
あなた
そんなにいい仕事はないし、家族もいるんだから辞めるとかダメだよ。

親友ならこんな返答はしない!
話をしっかり聞きますよね?

HAMAYO
いつも大変そうだしなあ。
どういうところがしんどいの?内容によっては辞めても解決しないことがあるから、話をもっとくわしく聞かせてよ。

3-3.会話のプロ

これから薬剤師に求められるスキルは、薬のプロだけではない!会話のプロにならなければ、薬剤師なんてロボットでいいんじゃないか?ってなってしまう。

あなたもコーチングを学びませんか?

4.まとめ

ときには薬剤師としてではなく、患者さんを親友として接しましょう!価値観の押し付けは何の解決にもなりません。

スポンサードリンク

ABOUTこの記事をかいた人

薬わかるー指導せんー:管理人
調剤薬局勤務:研修認定薬剤師

京都薬科大学卒。大手調剤DSチェーンにて管理薬剤師を経験後、調剤薬局に転職。2015年10月より薬わかるー指導せんーを設立、薬の基本が一目で分かる最高の指導せんをあなたにお届けしたい!