新人薬剤師・薬学実習生が服薬指導の練習をするときは、簡単なDO処方からしてもらう薬局は多い。DO処方の服薬指導が簡単?これは最も難しい服薬指導です!ただ確認するだけの服薬指導は何の練習にもなりません。
1.DO処方の難しさ
処方が変われば、話のネタがあります。ではDO処方はどうでしょうか?処方が同じ期間が長いほど話のネタがなくなってきます。結局こんな服薬指導になっていませんか?
糖尿病の薬を1年以上、同じ薬で飲み続けている患者への服薬指導
ジャヌビア錠50mg 1錠
朝食後 28日分
いつも同じ薬だからね。
低血糖はありませんか?
たぶん大丈夫です。
HbA1cはどれくらいでしたか?
まだ飲まないとダメ?
1-1.この服薬指導の問題点
検査値・副作用の確認をしているからハイリスク加算もとれるでしょう。一見良さそうに見えますが、あなたはこの服薬指導の何が問題か分かりますか?
実はこれ「何も指導していない」のです。指導していないのに薬歴はしっかり書けるし、指導した気になってしまう。
1-2.確認だけの作業
新人にこのような服薬指導ばかりをさせていると「ヨコ質問」しかしない薬剤師になります。しかも患者さんが最も嫌うのがこのヨコ質問です。
では「タテ質問」をした服薬指導の例をあげましょう。何が違うのでしょうか?
いつも同じ薬だからね。
最近、風邪ってひかれましたか?
1年にどれくらい風邪ってひくんですか?
寒いとどうしてもね・・。
喉・鼻水・熱とか・・
今日は風邪薬でてないよね。何でそんなこと聞くの?
(指導せんを差し出す)
今まで普通に飲んでいたよ。ありがとう!
2.ヨコ・タテ質問
服薬指導で最もだいじなコトが「タテ質問」のうまさです。新人にとってはこのタテ質問が難しい。何か聞かなければ、という思いが関連性のない質問を繰り返し患者は退屈してしまう。
2-1.ヨコ質問
1つ1つに関連性がない質問です。患者からすれば、尋問されているようで答えるのがイヤになってしまう。たいていの返答が「ない」と言われることが多く、毎回同じ質問を繰り返してしまいがち。
2-2.タテ質問
1つのコトを深堀りしていく質問です。どのように・どうして・どれくらいなど、関連性のある質問をしていく。最終的に指導したいゴールを決めておくことで、患者に「気付き」を与えることができる。
2-3.教育担当者へ
DO処方の服薬指導の難しさは分かったでしょうか?何も指導していない、薬の確認とヨコ質問だけの服薬指導では新人は育ちません。初めて使う薬や変更があるときの方が、指導をする話のネタがあるので勉強になります。
3.DO処方の服薬指導
なんだかDO処方の服薬指導が難しいのは分かったけど、実際どのようにしたらいいのって思うでしょ?お任せください!薬わかるの指導せんがすべて解決してくれます。
3-1.シナリオ型服薬指導
先ほどのHAMAYOの服薬指導の例を見てください。HAMAYOが指導せんを使ってするのは「シナリオ型服薬指導」です。指導すべきゴールを決めてタテ質問を繰り返していく。あなたがDO処方の服薬指導に悩んでいるのであれば、ぜひ活用してください。
3-2.病気を治す服薬指導
タテ質問により患者の現状・欲求を確認して、患者が病気を治す方向に向かうように支援します。生活習慣を改善しようという動機付けをおこなうには、タテ質問・影響言語がキーポイントです。
4.まとめ
新人薬剤師は、処方変更がある処方せんから指導スキルを磨いていこう!その次はシナリオ型服薬指導、影響言語とブラッシュアップしていきましょう。