冬はノロウイルス・インフルエンザなどで子供に座薬を使うことが増えると思います。
「2種類以上の座薬を使いたいときの順番はどうしたらいいのか?」
「なかなか座薬が入らないときはどうしたらいいのか?」
今回は、座薬を使う順番・座薬の使い方のコツについて現役薬剤師のHAMAYOが解説します。
1.座薬の種類とは
座薬は有効成分をおおう基材の違いにより、油脂性と水溶性の2種類に分けられます。
1-1.油脂性基材の座薬
油脂性基材からできた座薬は10分前後で、体温により溶けて効果を発揮します。
熱に対して弱いため「冷所保管」が多い。
解熱・鎮痛
- アンヒバ・アルピニー・カロナール坐剤
(成分:アセトアミノフェン) - ボルタレンサポ
(成分名:ジクロフェナクナトリウム) - インテバン坐剤
(成分名:インドメタシン) - アンペック坐剤
(成分名:モルヒネ)
下剤
- 新レシカルボン坐剤
(成分名:炭酸水素ナトリウム) - テレミンソフト
(成分名:ビサコジル)
その他
- セニラン坐剤
(成分名:ブロマゼパム)
1-2.水溶性基材の座薬
水溶性基材からできた座薬は体液を吸収し、速やかに溶けて効果を発揮します。
油脂性に比べて熱に強いので、高温多湿でない限り「常温保管」が多い。
- ダイアップ坐剤
(成分名:ジアゼパム) - ナウゼリン坐剤
(成分名:ドンペリドン) - エスクレ坐剤
(成分名:抱水クロラール)
2.座薬を入れる順番とは
基材の違いにより座薬を入れる順番を考える必要があります。
順番を間違えると効果が期待できないので注意!
2-1.同じ基材を同時に使う
水溶性+水溶性・油脂性+油脂性といった同じ基材の座薬を一緒に使いたい場合は、緊急性の高い座薬を先に使います。
その後、五分ほどあけて次の座薬を使ってください。
下剤に用いる座薬は使用後30分程度で排便となる可能性があるため、最後に使うことをオススメします。
2-2.違う基材を同時に使う
水溶性と油脂性の違う基材の座薬を一緒に使いたい場合は、必ず水溶性の座薬を先に使用してください。
その後、30分程度あけてから油脂性の座薬を使います。
順番・時間を間違えると、油脂性基材の中に成分が取り込まれてしまう。
薬の効果が半分まで落ちる可能性があります。
- ダイアップ+アンヒバ・アルピニー
- ナウゼリン+アンヒバ・アルピニー
ダイアップ(水溶性)を先に入れて、30分以上あけてからアンヒバ・アルピニー(油脂性)を入れる。
ナウゼリン(水溶性)を先に入れて、30分以上あけてからアンヒバ・アルピニー(油脂性)を入れる。
2-3.順番を逆にしたとき
熱が高いからアンヒバを使ったけど、30分くらいしたら気分が悪くなって吐いた。
子供の体調によってはこんなケースもあると思います。
油脂性の座薬を先に使った場合は、水溶性の座薬を入れるまで1時間半以上あけること。
慌てて時間をあけずに入れても、効果が期待できません。
3.座薬の入れ方のコツ
- 1回に使う量が半端なとき
- 座薬を嫌がるとき
- 座薬が入らないとき
- 座薬がすぐに出てくるとき
- 2回目以降の間隔をあけるとき
- 使用期限が分からないとき
子供の体重によっては、1回3/4個など座薬を切る指示があります。
切るポイントは「包装の上から斜めに切ること」、先が太い方を入れて、切れ端は捨ててください。
手が冷たい・爪が痛いなどで座薬を嫌がるケースがあります。
座薬を使う前にぬるま湯で手を洗って、爪を当てないように入れてください。
座薬がなかなか入らない場合は、まずは先端を体温で温めます。
さらに、水・サラダ油などで先端を少し濡らしてから使うと入りやすくなる。
ダイアップ・ナウゼリンなどの水溶性座薬は水でボロボロになる可能性があるため注意が必要です。
座薬を使ったあとは、20秒くらい肛門を押さえておくと出にくくなります。
刺激を与えすぎると、排便してしまうコトがあるので注意!
入れるときは、「やさしく」がポイントです。
症状がぶり返して、決められた時間あけるまで待てない!
たいていの座薬は2回目以降6〜8時間あける必要があります。
たくさん使えばよく効くは間違い!
決められた時間はあけるようにしてください。
薬局でお薬をもらってから一年以内は大丈夫なケースが多い。
ただし、薬によっては期限が近いもの、病状によって使えないものもあります。
かかりつけ薬剤師に電話で相談してみるといいでしょう。
4.記事の指導せん
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5.まとめ
2種類以上の座薬を使うとき、気をつけるポイントがたくさんあります。
順番・使い方を間違えないように!
2種類以上、座薬がでている患者さんにお渡ししたい指導せんです。