ステロイド飲み薬は急にやめるとダメ!減らす時に注意すること4つ

こちらの記事は薬局薬剤師が文献等の情報を基に執筆・監修しています。

「ステロイドってやめたらダメなのか」

もう体調も良くなったし、副作用も心配だからステロイドの飲み薬は早くやめてしまいたい。

「なんで勝手にやめたらダメなの?」
「顔がむくんでつらいです」

ステロイド内服薬を長く飲んでいると副作用をキツく感じるときもあります。ただし、ここで薬を自己判断で調節してしまうと病状が悪化しかねません。

薬剤師
HAMAYO
今回は、薬局薬剤師HAMAYOがステロイド内服薬を急にやめてはいけない理由・減量中の注意点についてご紹介します。



1.ステロイド漸減療法とは

症状が改善したらステロイドをすぐにやめるのではなく、少しずつ減らしていき最終的にはやめていく方法です。

1-1.少しずつ減らす理由

私たちの体の副腎から分泌されているホルモンは、長期間ステロイドを服用していると分泌量を減らしてしまいます。

分泌されていたホルモンはいきなり正常には戻らないので、少しずつお薬を減らして分泌量を元に戻す必要があります。

1-2.ステロイド内服の期間・量

初回に飲む量などで個人差はありますが、1〜2週間程度の服薬期間であれば急にやめても問題ないとされています。

3週間を超えてステロイドを飲む場合は、副腎からの分泌量が減ってくるので少しずつやめていく必要があります。

1-3.急な中止でおこる離脱症状

長期間飲んでいた薬を急にやめると、発熱・頭痛・食欲不振・倦怠感・関節痛などの症状がおこるステロイド離脱症候群になるおそれがある。

ステロイドの減量は医師・薬剤師と相談しながら慎重に進めていく必要があります。

薬剤師
HAMAYO
長期間の入院生活からいきなり仕事をするとしんどいですよね。副腎も長いお休みから復帰するときは少しずつ慣らしていく必要があります。

2.ステロイド内服薬の減らし方

基本的にステロイドは初回に多めの量を使う、そこから体調を見ながら少しずつ量を減らしていきます。

重度のアトピー・突発性難聴・リウマチ・膠原病などいろいろな病気でステロイドは使われています。

2-1.段階的に減らしていく

プレドニゾロンとして1日20mg以上服用している場合は、2〜3週間毎に5〜10mgずつ減量していきます。寝つきを悪くすることがあるため、なるべく朝に多く飲む方が良いとされています。

プレドニゾロンとして1日5mg以下を服用している場合は、体調変化が起こりやすいため数ヶ月毎に0.5〜1mgずつ減量していきます。副作用を少なくするため、1日おきに飲む方が良いとされています。

2-2.ステロイド換算量による比較

一般的にはプレドニン(別名:プレドニゾロン)が最も良く使われています。次によく使われているリンデロンは、同じmg数でも効き目が違うので注意が必要です。

下の表より、例えばプレドニゾロン10mgの場合だとリンデロン1.5mgに相当します。

ステロイド(商品名) 同力価用量
プレドニン
プレドニゾロン
5mg
リンデロン 0.75mg
デカドロン 0.75mg
メドロール 4mg
コートリル 20mg

2-3.やめられない病気もある

個人差もありますが、減量には数年単位の時間がかかりやめられないこともあります。ムリに減らして体調が悪化するようでは意味がないので、上手くステロイドと付き合っていくことも大切です。

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3.減量時に注意すること

ステロイド減量中は体調変化が起こりやすく、日常生活で注意することがいくつかあるのでご紹介します。

  1. 指示どおり、お薬を服用する
  2. ステロイドの減量方法は、朝昼で飲む量が違ったり、一日おきに飲んだりと様々なパターンがあります。医師・薬剤師から指示されたとおり、飲み間違いがないようにしてください。

  3. 自己判断でお薬をやめない
  4. 体調が良くなるとお薬をやめたくなる気持ちは分かりますが、副腎はまだ長い休みから目を覚ましていません。焦らずじっくり治療していきましょう!

  5. 減量中は体調変化に気をつける
  6. ステロイド減量中は体調を崩しやすい時期でもあります。わずかな変化であれば大丈夫ですが、今まで治まっていた症状がぶり返してしまうようなら早めに病院を受診した方がいいでしょう。

  7. 規則正しい生活習慣を心がける
  8. たいていの病気で、ストレスは病状悪化の原因になります。抜歯や検査といった体に負担がかかる場合は、特に注意が必要です。



4.記事の指導せん

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薬剤師
HAMAYO
薬剤師からのコメント
ステロイド内服薬を減らしていくすべての患者さんにお渡ししたい指導せんです。

5.まとめ

ステロイドを減量するときは、医師・薬剤師と相談しながら焦らずじっくり減らしていきましょう。

引用文献:
ステロイド:日本内科学会雑誌 第100巻 第10号

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ABOUTこの記事をかいた人

薬わかるー指導せんー:管理人
調剤薬局勤務:研修認定薬剤師

京都薬科大学卒。大手調剤DSチェーンにて管理薬剤師を経験後、調剤薬局に転職。2015年10月より薬わかるー指導せんーを設立、薬の基本が一目で分かる最高の指導せんをあなたにお届けしたい!