SGLT2阻害薬の服用について服薬指導するための指導箋

こちらの指導箋は薬局薬剤師が文献等の情報を基に執筆・監修しています。

拡大表示&印刷はコチラへ

insatu

最高の指導箋を一覧から探す



1.SGLT2阻害薬について

指導せんをお渡しするときに役立つ服薬指導のポイントです。薬歴・次回の服薬指導計画に使える参考文言もご紹介します。

  1. 脱水症状に気をつける
  2. SGLT2阻害薬は尿から糖分を排出していくお薬なので、利尿作用があります。特に、利尿剤を併用している場合は脱水に注意します。

    普段より1日500mL以上の飲水追加が必要です、毎食後にコップ1杯程度の水を飲むよう指導します。ただし、過度に水分をとり過ぎると、高齢者では頻尿になる恐れもあるので柔軟な対応が求められます。

    高血圧・高脂血症などを合併している患者では、脱水が心臓病や脳卒中の引き金になる恐れがごく稀にあります。特に、服用初期は脱水しないよう水分摂取を十分に促します。

    一般的な脱水症状は口の渇き・頻尿・ふらつき等ですが、アトピーがある患者では皮膚の乾燥により湿疹が悪化する恐れもあります。

    薬歴・服薬指導計画例1
    EP:SGLT2阻害薬の服用中は脱水に気を付けて毎食後にコップ1杯程度の水分摂取を心がけると説明。
    OP:(薬剤名):水分摂取は十分にできているか?
  3. 尿路感染症に注意する
  4. 尿糖排出により、膀胱炎・性感染症にかかりやすくなる恐れがあります。特に、女性に多く報告されていますが、男性でもあります。

    一般に、膀胱炎を防ぐために普段の生活では、十分な水分摂取と尿意をガマンしないこと、性行為後は排尿するよう推奨されています。

    薬歴・服薬指導計画例2
    EP:SGLT2阻害薬の服用中は尿路感染症にかかる恐れがあるので尿意を我慢しないと説明。
    OP:(薬剤名):膀胱炎の症状(排尿痛など)の確認。
  5. 食欲不振時は内服薬を中止or減量
  6. 糖尿病の人が風邪・下痢などで食事がとれない時をシックデイと呼びます。原則、シックデイの時はSGLT2阻害薬の服用は中止します。

    全身の倦怠感・嘔吐・体重減少などが伴う場合は、ケトアシドーシスの危険があるので受診を促します。

    薬歴・服薬指導計画例3
    EP:風邪・下痢などで食事が摂れない時はSGLT2阻害薬の服用は控えると説明。
    OP:(薬剤名):シックデイ時の対応方法の確認。
  7. 食事療法はしっかり続けること
  8. 糖質制限を過度におこなうとケトアシドーシスになる危険があるため、適度な炭水化物摂取が推奨されています。

    SGLT2阻害薬により体重減少も期待できますが、食事療法と合わせたうえでの効果です。特に、服用3ヶ月くらいで空腹感が増すとの報告もありますので、食事・運動療法を怠らないよう指導します。

    薬歴・服薬指導計画例4
    EP:薬の服用だけに限らず食事療法も適切に行う必要があると説明。
    OP:(病名):食事療法も心がけているか?

    SGLT2阻害薬単独での低血糖はほとんどありませんが、SU剤と併用すると低血糖の注意が必要となり、用量制限が推奨されています。

    SGLT2阻害薬とSU剤の用量制限
    ・グリメピリド:2mg/日まで
    ・グリベンクラミド:1.25mg/日まで
    ・グリクラジド:40mg/日まで

糖尿病に関連する
服薬指導にコチラもおすすめ!

糖尿病の検査値HbA1c・血糖値表を服薬指導するための指導箋

2018.09.09

糖尿病の低血糖を服薬指導するための指導箋

2018.03.25

糖尿病のシックデイルールを服薬指導するための指導箋

2017.12.26

2.こんな患者さんにおすすめ

SGLT2阻害薬が処方されている患者におすすめしたい指導せんです。作用機序の違いから他の糖尿病治療薬とは違った注意点があります。

2-1.対象患者例

  • 1型糖尿病の治療
  • 2型糖尿病の治療(スーグラ・フォシーガのみ)

2-2.対象薬剤例

SGLT2阻害薬

  • ジャディアンス
    (一般名:エンパグリフロジン)
  • カナグル
    (一般名:カナグリフロジン)
  • スーグラ
    (一般名:イプラグリフロジン)
  • デベルザ/アプルウェイ
    (一般名:トホグリフロジン)
  • フォシーガ
    (一般名:ダパグリフロジン)
  • ルセフィ
    (一般名:ルセオグリフロジン)



3.達人の服薬指導術

薬わかるが提案する服薬指導例です。
SGLT2阻害薬の服用方法について服薬指導するときの患者向けに考えてみました。

薬剤師
今日は血糖値を下げるお薬が処方されていますが、注意点などは医師から説明を受けていますか?
40代男性
なんか尿から糖分を出す薬とか言っていたけど・・。
薬剤師
そうなんです。
今回の糖尿病治療薬は尿から糖分をどんどん排出させていくので、水分をしっかり摂る必要があると聞かれていませんか?
40代男性
あぁ、そんなこと言ってましたね。
薬剤師
お薬の効果をしっかり出して、副作用を予防するためにとても大事なことです。他にも注意して欲しいことがこれだけあります。

拡大表示&印刷はコチラへ

insatu
40代男性
そうなんですね。
薬剤師
少し頻尿になるかもしれませんが、飲み始めは毎食後にコップ1杯程度の水分を摂るように心がけてください。
薬剤師
他に何か服用以外でもいいので、どんなことが気になりますか?
40代男性
あとは大丈夫かな。
ありがとう!
SOAP薬歴例

  • S:今回から糖尿病のお薬が追加になりました。
  • O:カナグル(+)初回
  • A:SGLT2阻害薬の服用における注意点
  • EP:SGLT2阻害薬の服用中は脱水に気を付けて毎食後にコップ1杯程度の水分摂取を心がけると説明。
  • OP:水分摂取は十分にできているか?

4.まとめ

SGLT2阻害薬の服用について服薬指導するときにご活用ください!指導箋の使用はもちろん無料です。

薬わかるがお届けする
世界最高の電子薬歴はコチラへ

最高の服薬指導ができるカケハシの電子薬歴Musubiのスゴさ3つ

2017.11.07
スポンサードリンク

ABOUTこの記事をかいた人

薬わかるー指導せんー:管理人
調剤薬局勤務:研修認定薬剤師

京都薬科大学卒。大手調剤DSチェーンにて管理薬剤師を経験後、調剤薬局に転職。2015年10月より薬わかるー指導せんーを設立、薬の基本が一目で分かる最高の指導せんをあなたにお届けしたい!