αグルコシダーゼ阻害薬の特徴・副作用・飲み忘れ対策まとめ

「食後の血糖値を下げるって聞いたけど」

食後高血糖を下げるだけではないαグルコシダーゼ阻害薬について現役薬剤師のHAMAYOが語ります。

「おならが増えるって聞いて心配です」
「あんまりHbA1cが変わらないけど」

飲み忘れやすい、低血糖時はブドウ糖など、注意点もあるお薬ですが、心筋梗塞など心臓病の予防効果もあるとてもいいお薬です。

HAMAYO
今回は、αグルコシダーゼ阻害薬の特徴・違い・効果を正しく得るポイントについてご紹介します。血糖値を下げましょう!




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1.αグルコシダーゼ阻害薬(α−GI)とは

小腸における食物由来のショ糖をブドウ糖に分解する酵素を抑えることで、糖の分解・吸収を抑えて、食後の高血糖を改善するお薬です。

1-1.発売されている一覧

現在、αグルコシダーゼ阻害薬は3成分あり、すべてジェネリック医薬品も発売されています。

薬剤名 成分名
ベイスン ボグリボース
グルコバイ アカルボース
セイブル ミグリトール

1-2.αグルコシダーゼ阻害薬の比較・違い

それぞれの薬剤により、糖を分解する作用点に違いがあります。どんな違いがあるのか知っておきましょう。

  • グルコバイ(アカルボース)
  • 日本で最初に発売されたαグルコシダーゼ阻害薬です。唯一、αアミラーゼ阻害作用もあるため作用は強めです。

    ジアスターゼ含有健胃薬(太田胃酸など)との併用は、効果に影響を与える可能性があるので避けたほうが良い。

  • ベイスン(ボグリボース)
  • 他に比べて消化器症状が出にくいという特徴があります。ただし、効果も弱いので食後血糖値が高い人にはオススメされない。

  • セイブル(ミグリトール)
  • 他に比べて血糖値の上昇を早く強力に抑えるため、HbA1cを下げる効果は最も強いとされている。ただし、消化器系の副作用も起こりやすいので注意して欲しい。

2.αグルコシダーゼ阻害薬の特徴

食後血糖値を30〜50mg下げる効果だけでなく、さまざまなメリットがあるお薬です。

2-1.心臓病の予防効果

食後に血糖値が大きくアップダウンすると、血管に負担がかかり心筋梗塞などの心臓病にかかりやすくなる

食後高血糖を改善することで、心臓病を予防する効果が認められています。

2-2.低血糖が起こりにくい

他の糖尿病薬と比べて、HbA1cを下げる効果は劣りますが、高血糖・低血糖といった血糖値の変動は一番起こりにくい

作用機序から単独使用では低血糖になるリスクはほとんどないが、SU剤やインスリンと併用する場合は注意が必要です。

2-3.糖尿病の発症予防になる

ボグリボースは糖尿病予備軍の人が、糖尿病の発症予防で使うこともできます。ちなみに、糖の吸収をゆるやかにするだけで、体重を減らすダイエット効果はほとんどありません。




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3.αグルコシダーゼ阻害薬の副作用・注意点

注意して欲しい生活習慣や副作用についてまとめました。他にも細かい注意点はありますがこれだけは覚えてください!

  1. 早食い・過食をしない
  2. 早食いは急な血糖上昇を招きます。
    よく噛んで、時間をかけて食べる習慣をつくりましょう。

    食事は食物繊維の多い野菜から食べ始めると、腸内における糖分の吸収がさらに緩やかになるため効果的です!

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  3. 飲み忘れたら気付いた時に服用する
  4. 食直前の服用は飲み忘れがとても起こりやすい。もちろん食直前が最も効果的ですが、食後30分以内に気付いたら飲んでください

    食後30分以上経ってから気付いた場合は、効果が期待できないので服用しないでください。

  5. 腸内ガスに注意する
  6. オナラが増える・お腹が張るといった副作用が飲み始めに起こりやすい。服用初期はイモ類、豆類、炭酸飲料は控えるほうがいいでしょう。

    これら消化器系の副作用は、軽度であれば2週間程度で治まります。日常生活で気になるなら、服用回数を減らしながら体に慣らしていこう。

  7. 低血糖時はブドウ糖で対応する
  8. 摂取した砂糖はブドウ糖に分解され、体内に吸収後、血糖値が上がります。αグルコシダーゼ阻害薬はこの分解を阻害するお薬です。

    低血糖時はブドウ糖で対応する必要があります。外出先で起こる低血糖に備えて、ブドウ糖を携帯するようにしよう!

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  9. シックデイのときは休薬する
  10. 糖尿病患者が発熱や下痢・嘔吐、食欲不振などで体調が悪化している時をシックデイとよびます。これらの症状があるときは低血糖などの副作用が起こりやすいのでαグルコシダーゼ阻害薬は飲まない

    シックデイのときは水分を多めにとって、なるべく絶食しないようにしてください。

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4.記事の指導せん

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HAMAYO
薬剤師からのコメント
αグルコシダーゼ阻害薬を服用するすべての患者さんにお渡ししたい指導せんです。

5.まとめ

食後高血糖を抑えて、糖尿病を改善しましょう!αグルコシダーゼ阻害薬はあなたを心臓病から守るとてもいいお薬です。

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ABOUTこの記事をかいた人

薬わかるー指導せんー:管理人
調剤薬局勤務:研修認定薬剤師

京都薬科大学卒。大手調剤DSチェーンにて管理薬剤師を経験後、調剤薬局に転職。2015年10月より薬わかるー指導せんーを設立、薬の基本が一目で分かる最高の指導せんをあなたにお届けしたい!