HbA1cは血糖の平均値にすぎない。血糖値は食事・薬・ストレスなどの影響で常に変化している。もし血糖値が乱高下していたら、合併症のリスクを高めるおそれがあります!HbA1cが低いから大丈夫というわけではありません。
1.血糖値とHbA1cの違い
糖尿病治療でよく使われる2つの検査の違いを知りましょう。
1-1.血糖値とは?
血糖値は、測った瞬間の血糖の値です。そのときの値なので、検査の時間帯・食事の有無・ストレスなどで大きく左右されます。血糖測定器を購入すれば、自分で測ることもできる。
採血する方法によって血糖値は変動します。病院よりも自分で測るときのほうが15mg/dl程度高くなることがあるので注意してください。
- 空腹時 ; 70〜109mg/dl
- 食時2時間後 ; 140mg/dl未満
正常値
- 空腹時 ; 126mg/dl以上
- 食事2時間後 ; 200mg/dl以上
糖尿病
1-2.HbA1cとは?
HbA1c(ヘモグロビン・エイワンシー)は過去1〜2ヶ月の血糖の平均値です。平均値なので、検査の時間帯・食事の有無で値が左右されることはありません。糖尿病治療において最も重要とされている指標です。
- 正常値 ; 4.3〜5.8%
- 糖尿病 ; 6.5%以上
※正常値でも糖尿病と診断されることがあります。
2.HbA1cに隠された罠
HbA1cが下がって良かったと一喜一憂している患者がいます。確かにいいことですが、HbA1cは血糖の平均値であることを知っておかなければいけません。
2-1.CGMとは?

血糖値を24時間5分おきに測り続ける医療器具です。1日の血糖値の流れがグラフ化されることで今まで分からなかった真実が分かってきました。
2-2.健康人のCGM

こちらのグラフは健康人のCGMです。食事の影響は少なく、血糖値はほぼ一定であることが分かります。
3.良質なHbA1cとは?
これからご紹介する3つのCGMはみなさんほとんど同じHbA1cです。同じ値でも日内の血糖値変動にはこれだけの違いがあります。
3-1.食後高血糖タイプ

食後に血糖値が著しく上昇する患者です。高血糖になったあとインスリン分泌によって血糖値が急激に下がり、低血糖になることもあります。日内変動は激しくても平均値をとればHbA1cは安定してみえてしまう。
3-2.食前高血糖タイプ

日中は薬が効いていて血糖値は安定していても、夜間から早朝にかけて高血糖になる患者です。日中にいくら血糖値を測っても正常で、HbA1cも安定してみえてしまう。とても恐ろしい状態です。
食後高血糖タイプとは逆で、夜間から早朝にかけて低血糖になる患者もいる。低血糖に気付きにくいという恐さがあります。
3-3.コントロール良好タイプ

健康人のように血糖値の上下がほとんどない患者です。糖尿病患者が目指すべき「良質なHbA1c」がこのタイプです。HbA1cは平均値なので、上の2タイプとHbA1cはほとんど変わらない。さあ、あなたはどのタイプでしょうか?
4.不良なHbA1cが意味すること
血糖値が乱高下する「食後高血糖タイプ」や、夜間から早朝にかけて高血糖になる「食前高血糖タイプ」にはどのような弊害があるのでしょうか?
4-1.血管へのダメージが大きい
血糖値が乱高下すれば当然、血管に深刻なダメージを与える。脳の血管が侵されると、脳卒中や認知症になるリスクがあります。心臓の血管が侵されると、心筋梗塞になるリスクがあります。
4-2.合併症に注意!
網膜症や壊疽、糖尿病性腎症も気をつけなければいけません。たとえHbA1cが基準値に入っていても定期的に眼科は受診しましょう。
4-3.副作用が出やすい
低血糖が起こりやすくなります。シックデイのときに重篤な状態にもなりかねません。血糖値を安定させるために薬が変更になったときは特に注意が必要です。
5.定期受診はいつがいい?
あなたがどのタイプの糖尿病患者なのか医師に確認しましょう。それぞれのタイプによって定期受診で最も良いタイミングがあります。
5-1.食事2時間後が良い方
あなたが食後高血糖タイプなら、いつもどおりの食事をして1.5時間後の採血がベスト!普段の食生活から考えて、病院の予約をとりましょう。
5-2.朝食前が良い方
あなたが食前高血糖タイプなら、朝食前の採血がベスト!病院の予約をとるときは早朝にとったほうがいいでしょう。
※食事の有無は採血内容によって変わります。自己判断でやらずに医師に確認してください。

6.記事の指導せん
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すべての糖尿病患者に知ってほしいHbA1cに隠された真実です。隠された高血糖・低血糖を見つけてベストな治療をしましょう!
7.まとめ
HbA1cだけでは糖尿病を完全にコントロールすることはできません。病院を受診するタイミングを変えることで隠された真実が分かってくるかもしれません。