血液をサラサラにする薬を自己判断でやめてしまうのは自殺行為です。実は、治療開始1年で27%の患者が出血リスクのため薬をやめている。今回は、正しい薬の知識とリスク対策についてご紹介します。
1.血液をサラサラにする薬一覧
血液をサラサラにする薬には、「抗血小板薬」と「抗凝固薬」の2種類があります。それぞれの特徴を理解することが大切です。あなたはどちらの薬を飲んでいますか?
1-1.抗凝固薬
抗凝固薬は、血液が滞りできる血栓を防ぐための薬です。主に不整脈・心不全などによって血液の流れが滞りやすくなる患者に使われます。
商品名 | 成分名 |
---|---|
ワーファリン | ワルファリン |
プラザキサ | ダビガトラン |
イグザレルト | リバーロキサバン |
エリキュース | アピキサバン |
リクシアナ | エドキサバン |
1-2.抗血小板薬
抗血小板薬は、動脈硬化が原因でできるプラークに血小板が集まるのを防ぐ薬です。主に高血圧・高脂血症・糖尿病によって動脈硬化が進みやすい患者に使われます。
商品名 | 成分名 |
---|---|
バイアスピリン | アスピリン |
パナルジン | チクロピジン |
プラビックス | クロピドグレル |
エフィエント | プラスグレル |
プレタール | シロスタゾール |
2.やめるとどうなるか?
治療をしている患者に比べて、脳卒中や血栓症のリスクが約5倍に跳ね上がる。抗凝固薬は、痛みや不安を抑えるといった治療ではなく予防治療であるため、やめたくなる気持ちはわかる。しかし、薬を飲み始めるときのことを思い出して欲しい!怖い思いをしましたよね?悪魔は心の片隅でひっそりとあなたが薬をやめるのを待っています。どうか負けないでください!
3.やめる原因トップ3位
薬に対する不安、生活状況の変化、信頼する医師の異動など様々な理由がやめる原因になります。健康日本21フォーラムで抗凝固をやめた患者100人のアンケート結果で分かったやめる原因トップ3位をご紹介します。あなたもこんなこと思っていませんか?
3-1.通院が面倒
35%の患者が通院が面倒で治療をやめたと答えている。予防治療なので、めんどくさくなる気持ちは分かります。しかし、めんどくさい悪魔に負けてはいけません!なるべく家の近くの病院で、信頼できる医師・薬剤師を見つけることが治療を継続していく原動力になります。
3-2.出血リスク
27%の患者が副作用の心配で治療をやめたと答えている。血液をサラサラにする薬には、鼻血が止まりにくい、青あざができやすいなど血が止まりにくくなる副作用があります。特に、治療開始から数ヵ月以内は出血リスクがおこりやすい。いきなりびっくりしてやめないことが大切です。
3-3.規則的に飲めない
24%の患者が規則的に薬を飲めなくなり治療をやめたと答えています。仕事や生活習慣の都合など飲めない理由は多々あります。しかし、こういった悩みこそ薬剤師に相談して欲しい。飲み忘れたときに対応方法、生活習慣にあった飲み方の提案など、あなたのかかりつけ薬剤師は親身になって相談にのってくれますよ。
4.出血リスクを避けるために
血が止まらないって怖いですよね。でも、副作用が怖くて飲むことをやめると、もっと怖いことが起こります。どんな副作用が起こる可能性があるのか学ぶこと。対処方法を理解しておくことがとても大切です。
- 歯ぐきや鼻からの出血
- 血便 ・ 血尿
- 皮下出血(あおあざ)
歯ブラシはやわらかめを使いましょう!歯槽膿漏や虫歯は出血の原因となるため早めに歯科を受診してください。鼻をかむときもなるべく「やさしくかむこと」がポイントです。花粉症の患者は点鼻薬を使うなど工夫しましょう。花粉シーズン中はなるべく耳鼻科を受診してください。
「いきみすぎないこと」がポイントです。特に、痔もちの患者は切れ痔になると出血する可能性があります。普段、3日以上便がでなければ下剤を飲んだほうがいいでしょう。痔以外で血便がでる場合や血尿がでるときは薬が効きすぎている可能性があるので病院に受診してください!
ケガのおそれのある運動や仕事はなるべく避けましょう!ケガをして出血をしたときは「きれいなハンカチを出血部位に当てて、手でしっかりと圧迫して止血します。」15分経っても止血されないときは病院に受診してください。
5.記事の指導せん
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6.まとめ
血液をサラサラにする薬を自己判断でやめるのは自殺行為です。出血リスクをよく理解おけば何も怖いことはありません!それでも不安なことがあれば、あなたのかかりつけ薬剤師に相談しましょう!
血液をサラサラにする薬を飲んでいる患者さんには、定期的に確認してほしい指導せんです。出血するリスクのある生活習慣を改善するところからはじめましょう!