「尿から糖を出すって薬って聞いたけど・・」
まだまだ新しいお薬であるSGLT2阻害薬について現役薬剤師のHAMAYOが語ります。
「どんなことに気をつけたらいいのか」
「体重が減るって聞いたけどホント?」
注意点を守ればとてもいいお薬ですが、今までの糖尿病薬にはない副作用にも気をつける必要があります。最後にご紹介する指導せんも必見です!

1.SGLT2阻害薬とは
腎臓における糖分の再取り込みを抑えることで、おしっこから糖分を排出していくお薬です。
1-1.発売されている一覧
現在、SGLT2阻害剤は6成分7商品が発売されています。
薬剤名 | 成分名 |
---|---|
ジャディアンス | エンパグリフロジン |
カナグル | カナグリフロジン |
スーグラ | イプラグリフロジン |
デベルザ アプルウェイ |
トホグリフロジン |
フォシーガ | ダパグリフロジン |
ルセフィ | ルセオグリフロジン |
1-2.SGLT2阻害薬の比較・違い
効果に大きな違いはありません。私の知っている範囲でそれぞれの特徴だけまとめました。
- ジャディアンス
- カナグル
- デベルザ・アプルウェイ
- ルセフィ
心保護・腎保護作用。服用により心臓や腎臓の重い病気にかかるリスクがへります。
朝食後の血糖値を下げる効果が他に比べて強い。朝食に炭水化物を多く摂る方にはいいかもしれません。
薬が体からなくなるまでの時間が、ほかに比べて早いため夜間に頻尿になりにくい。
肝臓や腎臓が弱い患者でも問題なく使える。
2.SGLT2阻害薬の特徴
さまざまなメリットがある反面、他の糖尿病薬にはない注意点もあります。
2-1.血圧・中性脂肪を下げる
利尿作用により体液量や体重が減ることで、血圧が5mmHg程度下がることがあります。尿糖排泄により脂肪の分解が進むことで中性脂肪を下げることもあります。
2-2.ダイエット効果で体重減少
食事療法とあわせることで、2〜3kgの体重減少が期待できる。注意して欲しいのは食欲が増える患者がまれにいることです。
栄養となるはずの糖分が過剰に尿中に排泄されることで、体の防御反応として食欲が増すと考えられます。我慢できないくらい食欲が増したら医師に相談しましょう!
服用初期は大丈夫でも、服用後2〜6ヶ月経過してから食欲が増すことがあります。この作用の明確なメカニズムはまだ分かっていません。

自由に食事をしていても体重減少は期待できません。誰にでも簡単にできる食事療法をご紹介しています。ぜひ参考にしてください!
2-3.インスリン分泌能が回復する
SGLT2阻害剤は膵臓に作用することなく血糖値を下げるお薬です。高い血糖値を下げるために一日中働いている膵臓は疲弊してインスリン分泌量が減っています。
SGLT2阻害剤は膵臓を少し休ませてあげることで、インスリン分泌量を増やす効果が期待されています。
インスリンの単位数を減らす効果が期待できます。服用初期は単位数を減らすことが推奨されていますが、低血糖には十分に注意してください。

現在、2型糖尿病患者を中心に使われています。原理的には、1型糖尿病患者にも効きますが、ケトアシドーシスという副作用が懸念されています。適応が拡大されるのは治験で安全性が確保されてからでしょう。
2-4.食後の血糖値は下げにくい
SGLT2阻害剤は空腹時の血糖値を下げますが、食後の血糖値はあまり下げない。
血糖値は食後1.5時間後にピーク値となります。HbA1cだけでは食後高血糖は分かりません!病院に行く前にしっかりご飯を食べてピーク値の血糖を測ってもらいましょう!
3.SGLT2の副作用・注意点
注意して欲しい生活習慣や副作用についてまとめました。他にも細かい注意点はありますがこれだけは覚えてください!
- 脱水になりやすい
- 尿路感染症に注意
- 他剤併用は低血糖に注意
- シックデイのときは休薬
- 食事を見直す
SGLT2阻害剤には利尿作用があるため、脱水になりやすい。普段の生活に追加で500MLのお水を飲むことで脱水は防げます。毎食後にコップ1杯のお水を飲むようにしましょう!
特に高齢者、血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は注意が必要です。脱水により脳卒中や心筋梗塞が再発しやすくなります。
脱水対策はコチラがおすすめ
尿中に糖分が多くなるため、雑菌が繁殖しやすくなる。膀胱炎・カンジダ・性感染症にかかりやすくなるため、おしっこは絶対に我慢しない。
性行為後は早めにトイレをすることで感染リスクは下がります。
SGLT2阻害剤単独ではインスリンに作用しないため低血糖は起こしにくい。他の糖尿病薬と合わせて服用すると低血糖が起こりやすくなるため注意しましょう。
低血糖の対処方法とは?
糖尿病患者が発熱や下痢・嘔吐、食欲不振などで体調が悪化している時をシックデイとよびます。これらの症状があるときは低血糖などの副作用が起こりやすいのでSGLT2阻害剤は飲まない。
シックデイのときは水分を多めにとって、なるべく絶食しないようにしてください。
シックデイの対処方法とは?
乱れた食生活を正すことで薬の本来の効果が発揮されます。注意して欲しいのは、過度な糖質制限をしてはいけない。
体に糖質が入らないようになると生体防御反応で脂肪を溶かしてケトアシドーシスになります。食事療法は簡単なことから始めていきましょう!
4.記事の指導せん
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SGLT2阻害薬を飲んでいる患者さんにお渡ししたい指導せんです。脱水症状には十分に注意してください!
5.まとめ
SGLT2阻害薬は今後の糖尿病治療を大きく変えていきます。キーワードは脱水対策でしたね!夏場だけでなく冬場も気をつけましょう。