お薬を飲んでいる患者さんは、健常人よりも脱水に気を付ける必要があります。脱水は症状がでてからでは遅いのをご存知でしょうか?すでにあなたの血液はドロドロ状態で、今にも心筋梗塞の引き金が引かれようとしています。脱水は感じるまえに予防するのがポイントです。
1.脱水とは?
水分もしくはナトリウムなどの電解質が不足している状態をいいます。水分の不足は口が渇くので気付きやすいが、電解質の不足は症状が分かりにくいので注意が必要です。
1-1.水分の不足
口の渇きや皮膚の乾燥といった症状がでます。水だけでなくOS-1など電解質が入った飲み物をバランスよく取ることが大切です。OS-1には1本あたり1.5gの塩分が含まれいるので、高血圧の方はとりすぎに注意してください、
1-2.電解質の不足
眠気や倦怠感、手足のしびれといった症状がでます。水だけ取っても脱水状態は改善されません。必ずOS-1か塩タブレットなどを取ってください。夜間、頻尿が気になる場合は塩タブレットがおすすめです。
2.脱水が招く怖い病気たち
慢性疾患で薬を飲んでいる方は健常人よりも脱水に気を付ける必要があります。体から水分・電解質が失われるとどのようなトラブルの原因となるのかご紹介します。
2-1.熱中症
脱水状態のまま体温が上昇すると発症します。電解質が不足すると、体はさらなる電解質の消失を恐れて発汗をストップさせます。発汗で体温を下げられず、さらに体温が上がっていく結果、けいれんや意識障害がおこります。
2-2.脳卒中・心筋梗塞
- 利尿薬(ラシックスなど)
- 血液をサラサラにする薬(プラビックスなど)
- スタチン(クレストールなど)
脱水により血液中の水分が失われると血液がドロドロになります。血栓ができやすくなり、血管が詰まりやすくなる。夏の起床時は脱水状態になることが多く、心筋梗塞が多い時季として有名です。室温管理に気を付けましょう!
2-3.膀胱炎
- 頻尿改善薬(ベシケアなど)
- 糖尿病薬(スーグラなど)
- 抗リウマチ薬(エンブレルなど)
脱水により尿が濃くなることで、雑菌が繁殖しやすくなります。トイレを我慢すると、さらに発症しやすくなるため注意が必要です。特に女性は男性に比べてなりやすい。市販薬で治すのは困難なので早めに病院を受診しましょう!
2-4.副作用リスク
- 強心薬(ジゴキシンなど)
- 躁病薬(リーマスなど)
- 免疫抑制薬(プログラフなど)
脱水により薬の血中濃度が高まると、普段よりも副作用がでやすくなります。通常の薬で問題になることは稀ですが、血中濃度を厳密に管理しないといけないハイリスク薬の場合は注意が必要です。
3.脱水の予防方法
- 起床時、コップ1杯の水を飲む
- 鼻呼吸を心がける
- 外出時は要注意!
- 室温は適切に
睡眠中はコップ1杯以上の水が体から失われているため、すぐに水分を補給する必要があります。起床時に水を飲むことで、血圧を下げる効果もあるので朝は必ず飲むようにしましょう。夜間頻尿が気にならない患者さんは睡眠前も水分補給することをおすすめします。
口呼吸は水分消失を加速させます。口内の乾燥が進めば、口内炎の原因にもなります。なるべく鼻で呼吸をする習慣をつけましょう!
炎天下での外出は水分が急速に失われます。前もって水分補給をしてから外出することをおすすめします。もちろん水や塩タブレットの携帯も忘れずに!最近では、いろいろな冷感グッズが販売されているため効果的に使いましょう。
外出時だけでなく、室内でも脱水に気を付ける必要があります。高齢者は脱水症状に気付かないことが多いので、意識的に水分をとる必要があります。冷房や扇風機などで空調管理はしっかりしておきましょう!
4.記事の指導せん
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5.まとめ
脱水は気付いてからでは遅い!いかに脱水しないように予防するかがキーポイントです。特に、慢性疾患をもっている患者さんは注意しましょう。
これから暑くなる時季です。毎年、脱水をきっかけに病気が重篤化する患者さんがいます。お薬を飲むすべての患者さんにお渡ししたい指導せんです。