「骨粗鬆症の薬は飲み方が特殊で心配です」
起床時服用、30分横にならないなど飲み方の注意点が多い骨粗鬆症の薬「ビスホスホネート製剤」について現役薬剤師のHAMAYOが語ります。
「なんで横になったらいけないの」
「飲み忘れた時はどうしたらいいの」
特殊な飲み方をするお薬にはすべて理由があります。正しい服用方法でお薬の効果をしっかり発揮して健康な骨を目指しましょう!
1.ビスホスホネート製剤の効果・作用機序
骨を壊す破骨細胞の働きを弱めることで、骨を健康にして骨折を予防するお薬です。
1-1.骨粗鬆症の薬で最も使われている
ビタミンD3製剤やエストロゲン系など他の薬と比較して、最も使われている骨粗鬆症のお薬がビスホスホネート製剤です。
顎骨壊死という副作用が起こるおそれがあるため、抜歯等の歯科治療を終わらせてから服用する必要があります。
1-2.毎日から毎月まで多様な内服薬
毎日・毎週・毎月など様々なタイプの内服薬が発売されています。最近では、飲む回数が少ない毎月(4週1回)タイプが主流です。毎日タイプはほとんど処方されなくなりました。
- フォサマック・ボナロン35mg
(成分名:アレンドロン酸Na) - ベネット・アクトネル17.5mg
(成分名:リセドロン酸Na)
- ベネット・アクトネル75mg
(成分名:リセドロン酸Na) - ボノテオ・リカルボン50mg
(成分名:ミノドロン酸水和物) - ボンビバ100mg
(成分名:イバンドロン酸Na水和物)
1-3.毎月から1年まである注射薬
飲み方のややこしさがないので、毎月診察の時に注射してもらっている人もいます。1年に1回タイプの注射薬は良さそうに思えますが、急な抜歯などに対応しにくいなど問題点もあります。
- ボナロン点滴静注バッグ900:月1回
(成分名:アレンドロン酸Na) - ボンビバ静注1mg:月1回
(成分名:イバンドロン酸Na水和物) - リクラスト点滴静注液5mg:年1回
(成分名:ゾレドロン酸水和物)
2.高齢女性だけではない服用例
ビスホスホネート製剤を服用するのは骨密度が低下しやすい高齢者の女性だけではありません。様々なケースで服用するケースがあります。
2-1.70歳以降の男性
若い頃、運動をしていなかった男性は筋肉の衰えとともに50代から骨密度が低下していきます。男性でも骨粗鬆症になるリスクは十分あります。
2-2.ステロイド内服薬を連用中の人
ステロイド内服薬を長期間服用している人は、健常人に比べて骨が脆くなりやすい。たとえ骨密度が正常であってもビスホスホネート系等の薬を服用するケースが多い。
2-3.ガン等で骨転移が見られる人
ビスホスホネート製剤には骨転移したガンの進行を抑制したり、痛みを抑える効果もあることが分かってきました。骨転移が判明したら、なるべく早期の服用が推奨されています。
3.ビスホスホネート系の飲み方・注意点
特殊な服用方法を正しく理解して、副作用が起こらないようにしよう!歯科受診など日常生活でも気をつけることがあります。
- 起床時すぐに服用する
- 服用後、30分間横にならない
- 飲み忘れに気付いたら、翌朝に服用する
- カルシウムを適度に摂取しよう
- 歯科受診の時は服用を伝える
服用してから2度寝はできませんので、目がしっかり覚めてから服用してください。噛んだり・口の中で溶かしたりしないで、コップ1杯程度(約180mL)の多めの水で服用する。
お薬の効き目が変わってしまうので、硬度の高いミネラルウォーターや牛乳でお薬を飲まないでください。
口内や食道にお薬が残ってしまうと、潰瘍ができるおそれがあります。座るのは問題ないが、横にならないでください。
他のお薬や食べ物と胃の中で混ざると、薬が骨にくっつく量が少なくなるおそれがあるので、朝食も30分以上経ってからとってください。
※ボンビバは60分以上あける必要があります。
多少薬を飲むタイミングが前後してもいいので、1週間程度の飲み忘れであれば、次回の服用日を遅らす必要はありません。
なるべく飲み忘れないために、カレンダーに服用日をメモする・薬の空包装に飲んだ日付を書いて保管しておくといいでしょう。
カルシウムの多い食品やサプリメントを活用しましょう。カルシウムの吸収を高めるビタミンD・Kもおすすめ!
適度な運動や日光浴も骨の健康には効果的です。ただし、カルシウムの取りすぎは高カルシウム血症を招くおそれがあるので要注意。
抜歯・インプラントなどの歯を削るような処置をする場合はお薬を休薬する必要アリ!そのまま治療すると、アゴの骨に異常がみられることがあります。
定期的に歯科受診をして、ブラッシングを食後にしっかりするなど口内をなるべく清潔に保つことも大切です。
4.記事の指導せん
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ビスホスホネート製剤を飲み始めるすべての患者さんにお渡ししたい指導せんです。ボンビバだけ60分間あける必要があるので注意してください。
5.まとめ
高齢者は1度でも骨折してしまうと寝たきりになり、予後がとても悪くなります。骨を健康に保つために、お薬を正しく飲みましょう。