抗インフルエンザ薬の特徴・種類・生活で注意したいこと5つ

「熱が高い!しんどい!インフルだ!!」

冬になると流行りだすインフルエンザ。
予防接種をしなかった自分を悔やんでも仕方ありません。

「お薬で気をつけることってなに」
「子供の異常行動が心配だ」

インフルエンザにかかった人・家族の看病をする人にも、知っておいて欲しいコトについて、現役薬剤師のHAMAYOが語ります。

HAMAYO
今回は、A型B型の違い・薬の効果・異常行動から、日常生活で気をつけることについてご紹介します。



1.インフルエンザとは

季節性に冬になると流行りだす感染症の1つです。感染力が強く子供から高齢者まで幅広く感染します。

インフルエンザウイルスには、A型・B型・C型があり、それぞれに特徴があります。

1-1.A型インフルエンザ

毎年11月頃から流行りだします。
高熱、関節痛などの全身症状からはじまり、次第に咳や鼻水もでるようになる。

100種類以上の変異型があり、たまに話題になる鳥インフルエンザ もA型の1つです。

1-2.B型インフルエンザ

毎年2月頃から遅れて流行りだします。熱よりも、吐き気がでやすく、A型に比べれば症状は軽いが、治るまで長引きやすい。

ウイルスが変異することは少なく、予防接種でたいていは防げると思います。なかにはA型と合併して発症する人もいます。

1-3.C型インフルエンザ

一年を通して、幼児を中心に感染します。症状は軽めで、ふつうの風邪程度の症状で終わることがほとんどです。

幼少期に一度かかると、免疫ができるため大人がかかるのは稀です。そのため話題になることもなく、知らない人も多い。

2.抗インフルエンザ薬とは

A型およびB型インフルエンザウイルスの増殖を抑えて、高熱などの症状を緩和するお薬です。C型インフルエンザに対する効果はありません。

2-1.発症48時間がタイムリミット

抗インフルエンザ薬は、ウイルスを殺すことができません。増え続けるウイルスを一刻も早く抑えるため、処方されたらすぐに使う必要があります。

発症48時間後にウイルスは最も多くなり、減少していきます。日にちが経ってからだと、薬の効果は期待できません。

2-2.抗インフルエンザ薬の一覧・比較

飲み薬・吸入薬・点滴まで、いろいろな種類のお薬が発売されています。それぞれの特徴についてまとめました。

  • タミフルカプセル・ドライシロップ
  • 1日2回朝夕に服用するタイプのお薬です。一番最初に発売された唯一の飲み薬ですが、耐性を持つウイルスも出てきているため、処方される機会は減りました。

    タミフルの特徴

  • 1日2回朝夕・5日間服用
  • 抗インフルエンザ薬で唯一の内服薬
  • 吸入が出来ない小児・大人におすすめ
  • リレンザ吸入薬
  • 1日2回朝夕に吸入するタイプのお薬です。吸入方法がややこしく、タミフルよりも処方される頻度は少ない印象があります。

    リレンザの特徴

  • 1日2回朝夕・5日間吸入
  • 吸入が少し心配な人におすすめ
  • 1〜2回吸入を失敗しても問題なし
  • イナビル吸入薬
  • 1日1回だけ、吸入するタイプのお薬です。1回吸入するだけで治療が終わる便利さから、吸入ができる子供から高齢者まで、最もよく処方されています。

    イナビルの特徴

  • 1日1回・吸入
  • 吸入ができる子供・大人におすすめ
  • 吸入練習機を使って出来るか判断する
  • ラピアクタ点滴用
  • 15分以上かけて、点滴するタイプのお薬です。他のお薬に比べて、インフルエンザへの有効性が最も高く、吸入のように失敗するリスクもない。

    ラピアクタの特徴

  • 1日1回・点滴
  • 点滴の注射が苦手ではない人
  • 病院のベッドが空いていることが条件

2-3.子供の異常行動に注意

高熱が続くと、おかしな事を言いだしたり、思いもよらぬ行動をとるおそれがあります。少なくとも発症してから2日間は子供を1人にさせないようにしてください。

特に10歳以上の未成年では飛び降りて死亡する痛ましい事故も起きています。子供がインフルエンザになったら、仕事は休んで看病したほうがいいでしょう。

3.インフルエンザの治療で注意すること

  1. 初回、なるべく早期に使用する
  2. 発症後、48時間以降の薬の効果は期待できません。ウイルスの増殖を一刻も早く抑えるために、お薬が処方されたら食事の有無にかかわらずすぐに使用してください。

  3. 熱をムリに下げすぎない
  4. 体の防御反応として発熱しているので、無理に熱を下げる必要はありません。38度を超える熱があっても、体がしんどくなければ解熱剤を飲まなくてもOK。

    解熱剤を使うときは、ロキソニン・ボルタレン・バファリンなどは良くない ので、カロナールがおすすめです。

  5. 学校・仕事はできれば5日間休む
  6. 発症後、5日間は症状が良くなってもインフルエンザウイルスが排出されます。同僚だけでなく、お客様まで感染させるおそれがあるので、仕事は出来る限り休んでください。

    学校は5日間登校禁止になります。熱が下がらない場合は、さらに解熱後2日経過するまで登校できません

  7. マスクを着けて感染を防ぐ
  8. 同居の家族がいる場合、家でもマスクをつける。家族に受験生や人生の大イベントを控えた人がいるなら、抗インフルエンザ薬の予防投与で発症を抑えることもできます。

  9. 発症後、2日間は異常行動に注意する
  10. 思春期の未成年がインフルエンザになった場合、絶対に1人にさせてはいけない。異常行動で死亡例も報告されているので、最低2日間は仕事を休んで看病してください。

    異常行動で一時話題になったタミフルとの因果関係はありません。すべてのお薬で起こる可能性があります。



4.記事の指導せん

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HAMAYO
薬剤師からのコメント
インフルエンザに感染した患者さん・看病するご家族・恋人の方にお渡ししたい指導せんです。

5.まとめ

インフルエンザは本人だけでなく、周りにも迷惑をかける厄介な感染症です。診断書をもらって自宅療養に努めましょう!

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ABOUTこの記事をかいた人

薬わかるー指導せんー:管理人
調剤薬局勤務:研修認定薬剤師

京都薬科大学卒。大手調剤DSチェーンにて管理薬剤師を経験後、調剤薬局に転職。2015年10月より薬わかるー指導せんーを設立、薬の基本が一目で分かる最高の指導せんをあなたにお届けしたい!