塩分の取り過ぎが体にもたらす危険は高血圧だけではありません!実は、骨密度が低下している患者も減塩をする必要がある。今回は、薬わかるが教える減塩のポイント・塩分を排出する効果のあるカリウムについてご紹介します。
1.過剰塩分の危険性
日本人は1日11g以上の塩分をとっている。これは小さじ2杯程度に相当します。
実は世界一の塩分摂取量で、日本人が大好きなラーメン・醤油・味噌が原因と言われています。では塩分摂取量が多いとどんな危険性があるのでしょうか?
1-1.高血圧
過剰な塩分をとると、体は水分を多くとり血液量を増やすことで塩分濃度を下げようとします。塩辛いモノを食べるとノドが渇くのはこの影響です。
血液量が増えれば、血管にかかる圧も大きくなるため血圧が上がってしまう。水分量が増えることでむくみの原因にもなります。
なぜ高血圧はダメなのか?
1-2.骨粗鬆症
体は過剰な塩分を尿からだそうとします。実は、このとき道連れでカルシウムも一緒に尿から排泄されてしまう事実が分かりました。
カルシウム濃度が減れば、もちろん骨粗鬆症のリスクは高まります。あなたの骨密度が改善しない理由は意外にも塩分のとりすぎかもしれません。
1-3.胃ガン
胃ガンはピロリ菌が主な原因ですが、塩分もリスク要因の一つです。約2〜3倍、胃ガンにかかりやすくなります。
過剰な塩分が胃粘膜を荒らすことで、発がん物質の影響を受けやすくなってしまう。胃の弱い患者さんは減塩を心掛けましょう。
2.ここまでの指導せん
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3.減塩目標
目指すべき減塩目標は高血圧かどうかで違います。女性のほうが骨粗鬆症になるリスクが高いため、厳格な減塩目標が定められている。
- 男性 : 1日8g未満
- 女性 : 1日7g未満
- 男女 : 1日6g未満
※小さじ1杯で約6gです
3-1.塩分の多い食べ物
ラーメン・加工食品・魚卵など、日本人が大好きなモノに限って塩分が多い。これらを減らすのはイヤですよね・・。
- ラーメン1杯 : 6g
- 塩シャケ1切れ : 4g
- たらこ1腹 : 3g
- 餃子8個 : 3g
- 味噌汁1杯 : 2g
3-2.塩分の多い調味料
家庭にある調味料にはどれくらいの塩分が入っているのでしょうか?やはり1位は醤油でした。醤油をつけないなんて考えられないですよね・・。
- 醤油 : 2.6g
- 味噌 : 2.2g
- ウスターソース : 1.5g
- ケチャップ・マヨネーズ : 0.4g
- みりん・酢 : 0g
※大さじ1杯で計算しています。
4.減塩のポイント
減塩目標まで塩分を減らすには1食あたり1〜2gの塩分制限をする必要があります。
方法は「体に入る塩分量を減らす」か「「体から出す塩分量を増やす」かです。
4-1.入る塩分量を減らす
いきなり頑張りすぎても3日坊主で終わってしまいます。簡単なことから少しずつ始めて、継続することが大切です。
- 減塩シリーズを活用
- 汁物は飲みきらない
- 漬物・梅干しを止める
- 練り食品を減らす
- 外食・惣菜を減らす
1食あたり0.5〜1g程度の減塩効果!
減塩醤油から味噌・塩まで減塩をうたう調味料が数多く販売されています。これだけで調味料からとる塩分量を半分以下に抑えることができる。まずは家庭の調味料を変えていましょう。
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1食あたり2〜3g程度の減塩効果!
ラーメンならば、スープを半分残すだけで2gほど塩分を減らすことができます。味噌汁は具多め・汁少なめ。なるべく汁物は1日1杯までにしておきましょう。
1食あたり0.5〜1g程度の減塩効果!
ご飯のお供になる漬物・梅干し・ふりかけには1食1g以上の塩分が入っています。止めるのがベストですが、どうしても食べたいなら減塩されたモノを買いましょう!
1食あたり0.5g程度の減塩効果!
かまぼこ・ウインナーといった練り食品には漬物並みの塩分が含まれています。練り食品に限らず、ベーコン・ハム・塩漬けなどの加工食品もなるべく控えたほうがいいでしょう。
軽く茹でると塩抜きされるので、食べるならボイルがおすすめ。調味料のつけすぎには要注意!
1食あたり1〜2g程度の減塩効果!
一人暮らしサラリーマンが外食を減らすのは至難の技かもしれません。クックパッドで減塩と検索しただけで数多くのレシピがでてきます。料理に目覚めてみませんか?
些細なコトを気をつけるだけで1食あたり2gの減塩目標は達成できそうに思いませんか?
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4-2.出す塩分量を増やす
カリウムには塩を排出する作用があります。カリウムを多く含む野菜・海藻類・果物を多くとることで体から出す塩分量を増やします。
※腎臓が悪い患者はカリウム摂取量を制限する必要があります。
4-3.カリウムの多い食品
これらの入った食品を積極的に取り入れることで、体に入った塩分を効率よく排出することができます。
- きのこ類(しめじ・エリンギなど)
- 海藻類(わかめ・ひじきなど)
- 野菜類(ほうれん草・豆腐・筍)
- 果物類(バナナ・キウイ・アボカド)
カリウムは熱に弱い
カリウムの多い食品をとるなら「生」が一番です。炒めたり・茹でることでカリウムは半分以下まで減ってしまいます。サラダ・豆腐・果物からとるのがいいでしょう。
5.記事の指導せん
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減塩に悩むすべての患者さんにお渡ししたい指導せんです。できるコトから始めてみませんか?
6.まとめ
高血圧・骨密度を上げる薬を飲んでいる患者さんは減塩してみませんか?あなたの病気を良くするために簡単なコトから取り組んでみよう!
血圧が高め・60歳を過ぎた女性・胃薬を常用している患者さんに注意喚起したい指導せんです。