かかりつけ薬剤師指導料を算定するための話法

かかりつけ薬剤師
医療関係者専用
こちらの記事は薬剤師および医療関係者向けに書かれた記事です。

かかりつけ薬剤師として指名をいただくにはどのように提案をすればいいのか?算定するためには患者さんの署名が必要になるため、必ず料金の説明をしなければいけません。今回は、薬わかる管理人のHAMAYOが考える会話のコツをご紹介します。

1.毎月100回算定

調剤基本料の特例に該当した薬局が、調剤基本料1を算定するには大きな課題があります。不可能かと思われる実績要件ですが、薬わかるが提案するコツを使えば実現可能な数字だと考えています。

算定要件
常勤薬剤師1人あたり月100回以上の算定実績(0割除く)

2.私をかかりつけ薬剤師にする?

かかりつけ薬剤師指導料は患者1名につき、同一薬局に1名の薬剤師だけ算定することができます。よく「薬局は夜のキャバクラに」と表現されているように、患者さんから指名をしていただく必要があります。

2-1.受け身では無理!

「追加料金があっても、あなたをかかりつけ薬剤師にしたい」と告白のごとく言っていただけることを期待してはいけません。リーフレットの配布やポスターで告知をするだけで自然と算定件数が増えるものでもありません。

2-2.囲い込みが始まる!

積極的に取り組む薬局と申請だけして終わる薬局に2極化が進んでいきます。競合する薬局が積極的に取り組んでいる場合、あなたの薬局の患者さんが流れる可能性は十分にあり得ます!先行有利のため時間が経つにつれて取返しのつかない事態になるかもしれません。

3.営業に学ぶ

実は料金の提案の仕方は営業にヒントがあります。薬剤師は営業の本を読む機会は少ないと思いますが、営業から服薬指導に生かせる技術はたくさんあります。

今回参考にさせて頂いた本です。
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3-1.クロージングとは?

営業マンが自社商品をPRしたあと、「この商品を買っていただけますか?」と契約を迫る言葉をクロージング言葉といいます。実は薬剤師も新規患者へのジェネリックの提案というかたちでクロージングを日々おこなっています。

3-2.失敗するとどうなる?

クロージングに失敗して、契約不成立となるとお互いにぎくしゃくした関係になります。車や保険といった商品を買うときを思い出してください。買うかどうか迷っているときに営業マンから契約を迫られると、そのお店に行きにくくなりませんか?最初に先発品がいいと言われたら、次回以降にジェネリックについて聞きづらくなりませんか?

4.クロージングを成功させる方法

自社商品のPRもそこそこに契約を迫る営業マンの商品をあなたは買おうと思いますか?おそらくほとんどの方が買わないと思います。実はこれは、ジェネリックの提案でも同じことがいえます。かかりつけ薬剤師指導料についても同じことが言えます。先走って契約を促しても患者は決してYESとは言ってくれません。

  1. 自信を持って
  2. 料金の説明をするときに不安な顔つきをしてはいけません。かかりつけ薬剤師指導料には20~80円程度の追加負担金が発生しますが、あなたはこれを高いと思いますか?私はものすごく安いと思います。あなたが服薬指導をすることで提供できるサービスはこんな値段ではないはずです。「これだけのサービスがたった50円で受けれるんです。」くらい自信をもって言いましょう!

  3. 説明は具体的・肯定的に
  4. かかりつけ薬剤師を持つとどのようなメリットがあるのか具体的に見えるようにしてあげます。説明も否定的ではなく、肯定的に言い切ることで受け取る印象はまったく違います。

    参考文言
    ・ これはすごくいい制度ですね!
    ・ 営業時間外でも相談できたらいいですよね。
    ・ 何の薬か分からないときに相談できたらいいですね。
    ・ 同じ薬剤師が対応してくれるといつも相談しやすいですよね。

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    ダウンロード

    クロージングに入るまえに、お客様に買う意思があるのか確認することをテストクロージングといいます。「どう思われますか?」「どのように感じますか?」と質問をなげかけることで患者さんの真意を探っていきます。このテストクロージングをうまく使えば同意は非常に取りやすくなります。いかに上手に質問していくかが同意を得るためのキーポイントです。

    参考文言
    ・ かかりつけ薬剤師という制度ができましたがどう思われますか?
    ・ 毎回、同じ薬剤師が対応したほうがいいと思いませんか?
    ・ 営業時間外も相談できるようになりますがどう思われますか?
    ・ 自宅のお薬の整理をして欲しくありませんか?

  5. クロージングは確信してから
  6. テストクロージングで患者さんがどう思っているのか掘り下げていきます。こちらの質問に対して、肯定的な意見をいう状態になって初めて契約を促せばいいのです。反応が薄い方に契約を促しても同意してくれないうえに、先ほどの問題点でも指摘したようにぎくしゃくした関係になってしまいます。むやみやたらにクロージングすることは避けたほうがいいでしょう。

  7. 沈黙は考える時間
  8. クロージングをしたあとに沈黙があると、重くなった空気から抜け出したい気持ちでさら説明をしてしまう方がいます。これは絶対にしてはダメです!沈黙は患者さんがどうしようか考えている時間なので、必ず待ちましょう。不安になる気持ちはわかりますが、静かにじっと待つことが大切です。

5.まとめ

かかりつけ薬剤師指導料はむやみに契約を促すものではありません。テストクロージングをうまく使うことで、まずは潜在ニーズを発掘していきましょう!今回紹介しきれなかったポイントもあるので、一読の価値はあります。

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ABOUTこの記事をかいた人

薬わかるー指導せんー:管理人
調剤薬局勤務:研修認定薬剤師

京都薬科大学卒。大手調剤DSチェーンにて管理薬剤師を経験後、調剤薬局に転職。2015年10月より薬わかるー指導せんーを設立、薬の基本が一目で分かる最高の指導せんをあなたにお届けしたい!