「根拠に基づいた服薬指導って何だろう」
普段、私たちがしている服薬指導の内容に明確なエビデンス(根拠)はあるでしょうか。まさかテレビで見た情報をそのまま患者に伝えていませんよね。
「何となく言っていることが多いけど・・」
「エビデンス(根拠)ってよく分からない」
患者はネット・テレビ等で得た不確かな情報から薬を勝手にやめたりすることもあります。私たち薬剤師は確かな情報源から得た根拠に基づいて服薬指導をするべきです。
1.根拠に基づいた服薬指導のポイント
薬剤師は薬の情報だけで言えば、添付文書・インタビューフォーム等から正確な情報を得て服薬指導をできますが、生活習慣や疾患に関する知識は患者と変わらないこともあります。
1-1.正確な医療情報を伝える
世間の常識をそのまま鵜呑みにした服薬指導ではダメ。円形脱毛はストレスでなりやすい?チョコレートを食べるとニキビが悪化する?何気なく言っている医療情報の正確性は必ず確認する必要があります。
1-2.処方医の意思を尊重する
エビデンスに反対意見がある場合は、処方医の意思を尊重します。保湿剤とステロイド外用薬の塗る順番など、自分が正しいと思って指導したら処方医の見解と違うことは良くある話です。
1-3.根拠を調べる習慣を作る
キズは乾燥させて「かさぶた」を作った方がいいとする過去の常識は、今となっては乾燥させてはダメとなりました。エビデンスは変わる可能性もあるので、常に最新の情報を取り入れる習慣を身につける。
2.具体的な根拠例3つ
よく薬剤師が服薬指導で使う内容のエビデンスを調べたのでご紹介します。情報源も記載していますので、ぜひ目を通してください。
2-1.保湿剤とステロイドの塗布順
保湿剤を先に全体に塗ることで、ステロイド外用薬を赤いところのみ塗布できるため、ステロイド後塗りが一般的に推奨されています。これは、日本皮膚科学会ホームページのQ&Aに掲載されています。
根拠となる参照元:
皮膚科Q&A Q4軟膏やクリームが複数処方されている場合の塗る順番は?:日本皮膚科学会HP
ただし、約50パーセントの皮膚科医がステロイド外用薬を先に塗るよう指導するというアンケート調査もありますのでご注意ください。
根拠となる参照元(有料):
ステロイド外用剤の使い方ー混合の是非:臨皮55:96-101,2001
2-2.抗生物質の飲みきり
治療効果を正しく発揮するため、もしくは耐性菌の発生を抑えるためなどの理由で抗生物質の飲みきりが一般的に推奨されています。これは、厚生労働省よりでている「抗微生物薬適正使用の手引き」に掲載されています。
根拠となる参照元:
抗微生物薬適正使用の手引き 第一版:厚生労働省健康局結核感染症課
ただし、抗生物質を服用する期間が長いほど、耐性菌が発生しやすくなり、副作用の恐れも高くなるため、症状が治れば服薬を止めるよう支持する論文もありますのでご注意ください。
根拠となる参照元(英語):
The antibiotic course has had its day:BMJ 2017;358:j3418
2-3.バイアスピリンの一次予防
以前は高血圧に糖尿病などを合併した患者に、心筋梗塞や脳梗塞の予防を目的としたバイアスピリン投与がおこなわれていましたが、現在は一次予防としての効果は否定されました。もちろん、発症後の二次予防としての効果はあります。
ただし、バイアスピリンには大腸がんを予防する効果が期待されているので、一次予防の処方はほとんど中止になりましたが、そのまま継続処方されている患者もいます。
根拠となる参照元:
薬剤による大腸がん予防に向けた臨床試験、国内初の成果がんのリスクとなる大腸ポリープの再発をアスピリンで約40%抑制:国立がん研究センターHP
3.エビデンス(根拠)の調べ方
一般に、各種学会からの情報・ガイドライン・論文等がエビデンスレベルの高い根拠と言われています。
3-1.各種学会のホームページ
一般向けに記事が書かれている学会のホームページもあり、無料で読めるガイドラインも掲載されていることがあります。特に、日本皮膚科学会は「皮膚科Q&A」として皮膚疾患に関する記事を多く掲載しているためおすすめです。
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3-2.グーグルスカラー
自分が知りたいことの根拠となる論文を探すときにおすすめです。各種論文を年代ごとに検索できるため、最新の論文もいち早く学ぶことができます。
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3-3.論文から引用した記事・雑誌
私も記事を書くときはなるべく引用した論文等を掲載するようにしています。そのような記事の内容は難しい論文を分かりやすく説明してあるため、休憩時間などで気軽に読めます。
まとめ
今まで風習的に指導している内容の根拠を探してみるとあやふやなこともあります。根拠を持って服薬指導すると、その内容にも深みがでてきます!!
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