スタチン系薬剤の横紋筋融解症を服薬指導するための指導箋

こちらの指導箋は薬局薬剤師が文献等の情報を基に執筆・監修しています。

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１．横紋筋融解症の初期症状

指導せんをお渡しするときに役立つ服薬指導のポイントです。薬歴・次回の服薬指導計画に使える参考文言もご紹介します。

筋肉障害により筋肉の成分（ミオグロビン）か血液中に流れ出る副作用です。スタチン系の副作用でよく服薬指導していますね。

スタチンに関連した筋肉の症状（ＳＡＭＳ：statin-associated muscle symptoms）と血清ＣＫ値で薬物治療を評価します。

ＣＫ値	評価基準
１０倍未満	ＳＡＭＳが軽度で患者生活に支障がなければスタチンを継続する。必要に応じて減量もしくは休薬を検討する。
１０倍以上	ＳＡＭＳの有無に関わらず、スタチンの中止もしくは休薬を検討する。継続されていれば疑義照会をする。

※ＣＫ値は個人差が大きいため、スタチン投与前を基準とする。

初期症状として最も多いのが筋肉の痛みです。特に筋肉繊維の多い大腿部で起こりやすいので注意する。

日常的に激しい運動をしている場合、筋肉症状がでやすくなる恐れがある。

薬歴・服薬指導計画例１
ＥＰ：スタチン服用中に筋肉の痛み（特に大腿部）がある場合、横紋筋融解症の初期症状の恐れがあると説明。
ＯＰ：（薬剤名）：筋肉の痛み（特に大腿部）の確認

痛み・しびれ等がなく、脱力感を訴える患者もいます。飲み始めてから数週間〜数ヶ月以降に発症することが多いので、しばらくは注意する。

筋肉症状だけをもって処方中止とはなりにくいので、直近の血液検査状況を確認すると良い。ＣＫ値が高値であれば、疑義照会を検討する。

薬歴・服薬指導計画例２
ＥＰ：スタチンを飲み始めて数ヶ月間は筋肉の痛み・しびれ・手足の力が入らないといった症状に気をつけると説明。
ＯＰ：（薬剤名）：筋肉痛や手足に力が入らないといった症状はありませんか？

溶けた筋細胞が腎臓をとおり尿中に排泄されて、尿がコーラのような色になることがある。副作用を恐れてコンプライアンスが低下する恐れもあるので、患者を心配させないよう服薬指導には細心の注意を払いましょう。

薬歴・服薬指導計画例３
ＥＰ：スタチン服用中に赤褐色の尿が出るようであれば、横紋筋融解症の恐れがあると説明。
ＯＰ：（薬剤名）：赤褐色の尿が出ることはありませんか？

横紋筋融解症について
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クレストールで筋肉が溶ける！？それは横紋筋融解症という副作用です

横紋筋融解症はスタチン系・ニューキノロン系抗生物質を服用している患者で起こりやすくなります。他の薬でも起こることはありますが、発生頻度はごく稀です。

横紋筋融解症になりやすいリスク因子

高齢（８０歳以上）特に女性
小柄な体格・病弱
慢性腎臓病（ＣＫＤ）
甲状腺機能低下症
アルコール中毒・過度の運動あり
ＣＹＰ３Ａ４を阻害する薬剤等の併用あり
フィブラート・ニコチン酸・アミオダロン
シクロスポリン・ベラパミル・ワーファリン等
アゾール系抗真菌薬：イトラコナゾール等
マクロライド系抗生物質：クラリスロマイシン等