「眠気がでることがあります」服薬指導で言ったこの言葉で、薬を飲んでいない患者さんがいました。言い方ひとつで受け取り方はガラッと変わる。あなたは薬の副作用をどのように伝えていますか?
1.薬の副作用の上手な伝え方
薬の副作用を伝えるポイントをいくつか考えたのでご紹介します。あなたの服薬指導で使えるところがあれば、ぜひ使ってください!
1-1.出現確率を伝える
- 抗アレルギー薬 : タリオン、アレロックなど
- 高脂血症薬 : クレストール、リピトールなど
眠気がでやすい、でることがある。これではどれくらいの頻度で眠気がでるのか分かりません。受け取り方は人それぞれなので、具体的な数字をあげることで患者さんもイメージしやすくなります。
- 20人に1人くらい眠気が出ることがあります。
- 1000人に1人くらい筋肉がつることがあります。
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1-2.対処方法を伝える
- 解熱鎮痛薬 : ロキソニン、カロナールなど
- 抗コリン作用薬 : ベシケア、スピリーバなど
- 糖尿病薬 : アマリール、エクアなど
あらかじめ薬の副作用がでたときの対処方法を服薬指導します。一度でた薬の副作用を恐れて、急に服用をやめてしまう患者さんもいます。簡単な対処方法を伝えることで、薬の副作用がでたときの心理的負担もへるのではないでしょうか?
- ロキソニンは胃が荒れることがあります。服用後に胸焼けがするようであれば、なるべく食後や多めの水で飲むと改善しやすいです。
- ベシケアは口が渇くことがあります。水をたくさん飲むと頻尿がきつくなるので、うがいで対処するといいです。
1-3.次第に改善していく
- 認知症薬 : アリセプト、レミニールなど
- SSRI : パキシル、ジェイゾロフトなど
- ニキビ薬 : ディフェリンゲルなど
飲み始めに薬の副作用がでても、次第に治ることを服薬指導します。デリケートな薬が多いため、薬への不安を抱いている可能性が高い。言い回しも気をつける必要があります。
1-4.言い回しを変える
吐き気・めまいといった言葉にはとても怖いイメージがあります。言葉ひとつ変えることで患者さんが受け取る印象はガラッと変わる。適切な言い回しを考えてみましょう!
- 少し胃が重く感じることがあるかもしれませんが、続けて服用していると1週間程度で治まってきます。
- 立ちくらみがすることがあるかもしれません。急に立ち上がったりすることは控えてください。
1-5.代替薬があることを伝える
薬の副作用が起こっても、代替薬があることを服薬指導します。治療をやめたら意味がない。代替薬が使えないケースもあるので、患者背景を把握してからお伝えする必要があります。
こちらのお薬で〇〇といった症状がでる場合は、他のお薬もあります。あなたの体に合ったお薬を一緒に探しましょう。
2.薬の副作用は1つずつ
1度に2、3つの薬の副作用を言ってしまうと患者さんの不安を煽り、薬をやめてしまう可能性が高い。1度の服薬指導で伝える薬の副作用は一番重要なこと1つに絞ったほうがいいでしょう。
2-1.不安がないか聞く
「お薬について不安なことはありますか?」と質問します。患者さんの表情・しぐさ・返答内容からお薬に対してどのような不安があるのか聴き取りましょう。不安が強い患者さんに副作用情報を提供するときは特に注意が必要です。
2-2.デリケートな薬は慎重に
医師が伝えている薬の副作用と薬剤師が伝える副作用のニュアンスに相違があると、患者さんは戸惑ってしまいます。抗うつ薬の場合、体重増加など女性にとって、とてもネガティブな副作用もあるため言葉は慎重に選ぶべきです。
3.まとめ
薬の副作用を恐れて薬をやめていく患者さんはとても多い。あなたの副作用の伝え方は大丈夫でしょうか?