アトピー治療には、ステロイドとプロトピックの使い分けがとても重要です。皮膚科医や薬剤師にたくさん注意点を言われてよく分からなかった?指導せんで一発解決してください!プロトピックの注意点・副作用についてまとめました。
1.プロトピック(タクロリムス)とは?
ステロイドで皮膚の状態がよくなってきたアトピー患者によく使われます。ステロイドの休薬期間に症状がぶりかえさないようにプロトピックが使用されることが多い。
※プロトピック軟膏のジェネリックがタクロリムス軟膏です。
1-1.ステロイドとの違い
ステロイドは免疫細胞だけでなく皮膚のさまざまな細胞の働きを弱めるため、長期連用すると皮膚がうすくなることがある。プロトピックは免疫細胞だけに作用するため、皮膚がうすくなる副作用がない。
1-2.使用できない患者
2歳未満・妊娠中・授乳婦はプロトピックを塗れない。2歳から塗ることはできますが、塗る量に上限があるので注意が必要です。
年齢(体重) | 1回塗布量の上限 |
---|---|
2〜5歳 (20kgまで) |
1g(2FTU弱) |
6〜12歳 (20〜50kgまで) |
2〜4g |
13歳以上 (50kg以上) |
5g(チューブ1本まで) |
1-3.塗れないところ
おできやニキビには塗れない。プロトピックは皮膚の過剰な免疫を抑えることで効果を発揮します。感染部位にぬると症状が悪化する可能性が高い。おできやニキビができたら化膿止めを塗る必要があるので皮膚科を受診しましょう。
掻き傷が悪化して皮膚がジュクジュクしたらプロトピックは塗れない。軽度の掻き傷であれば塗ることはできますが、一旦ステロイドで掻き傷を治してからプロトピックを塗ったほうがいいでしょう。
2.皮膚ガンになるって本当?
プロトピックはこれまで700万人以上に使われていますが、因果関係の否定できない皮膚ガンの発生件数は数件程度です。自然発生的にできる皮膚ガンの確率よりも低いため気にする必要はありません。
2-1.強い紫外線は避けよう
日常生活であびる紫外線は問題ありません。海・山などで強い紫外線を長時間あびるときは必ず日焼け止めを塗りましょう。日焼けは皮膚に多大なストレスを与えるためアトピーが悪化する大きな要因になります。
3.初期の副作用に注意!
プロトピックは約80%の患者にほてり感やヒリヒリ感、痛みやかゆみなどの副作用がでる可能性がある。これらの副作用は1週間程度で軽快するので、初期の副作用にびっくりしてやめないことが大切だ。
3-1.副作用を軽減するポイント
- 入浴直後はさける
- 保湿剤の上から塗布する
- 刺激感が強いなら隔日使用へ
- 紫外線はさける
プロトピックによる皮膚への刺激感は、温度差・入浴により悪化する可能性があります。軟膏は皮膚を清潔にしてから塗ることが基本です。プロトピックは入浴後、体の熱が冷めてから塗ったほうがいいでしょう。
ヒルドイドなどの保湿剤を塗った上からプロトピックを塗ります。プロトピック単独で使うよりも皮膚への刺激感が減るので副作用の軽減が期待できます。
ほてりやヒリヒリ感を強く感じたら、1日おき・2日おきの使用にして様子をみてもいいでしょう。塗る頻度を減らすことで副作用の軽減が期待できます。プロトピックが体に慣れてきたら通常とおり塗りましょう。
紫外線で刺激感が強くでることがあります。日焼けサロンはもちろん厳禁です。海や山に行く前は塗布を避けたほうがいいかもしれません。夏場は紫外線が強いので、帽子や日傘をもったほうがいいでしょう。
4.記事の指導せん
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5.まとめ
プロトピックはとてもいいお薬ですが、刺激感のためやめてしまう患者さんが多くいます。副作用の対応方法をよく理解しておきましょう!
プロトピック(タクロリムス)軟膏を処方された患者さんにお渡ししたい指導せんです。