運動・食事療法における服薬指導のポイント4つ

「患者の生活にまで踏み込んだ服薬指導」

薬剤師は薬物コントロールだけをしていればいいのか?イヤ、違うはずだ!患者の運動・食事・日常生活にまで踏み込んだ指導が求められてくる。

これから薬剤師に求められるスキルは「患者の病気を治す手助け」薬学知識だけでなく、患者の生活習慣を変える達人の服薬指導術をご紹介しよう。

薬剤師
HAMAYO
今回は、運動・食事療法について服薬指導をするときのポイント・患者をやる気にさせるコツをご紹介します。



1.患者を動かす服薬指導

運動・食事療法をする患者さんに服薬指導をするとき、気をつけるポイントがあります。HAMAYOが考える達人対応を4つご紹介します!

1-1.ポジティブな言葉を使う

運動や食事療法を頑張っている患者さんがネガティブなことを言っても、ポジティブに返します。聞かれてもいないのに、あれこれ指導してしまうのはNG

ネガティブな言葉はヤル気を損なう原因になります。患者を褒めて、ヤル気の芽を少しずつ育てていく気持ちが大切です。


NG対応

患者
医師からは週に5回は運動するように言われているけど、仕事もあるし週1回くらいしかできないんだけど・・
薬剤師
そうですかあ。通勤に歩く時間を増やすなどしてみてはどうでしょうか?

達人対応

患者
医師からは週に5回は運動するように言われているけど、仕事もあるし週1回くらいしかできないんだけど・・
薬剤師
HAMAYO
週1回でも出来ていることはすごいですよ。少しずつ続けていきましょう!また次回どれくらい出来たか聞かせてください。

褒めるコツ

すぐに、大げさに褒めることが大切。日本ほめる達人協会が教える3S+1をぜひ使ってみてください。

  • すごい
  • さすが
  • すばらしい
  • 素敵

1-2.小さいことからスタート

運動・食事療法を頑張ろうとしている患者さんにいきなり高いハードルはダメ。まずは簡単なことから少しずつ始めるコトが大切です。

三日坊主で終わっては意味がありません。まずは1つやる事を決めて、成功体験を積み重ねていく。それが自信となり、継続するチカラになります。


NG対応

患者
糖尿病には炭水化物の取りすぎは良くないと医師に言われたので、白飯は食べないことにします。
薬剤師
確かに炭水化物は血糖値を上げる原因になります。麺類やパンも炭水化物なので制限したほうがいいかもしれません。

達人対応

患者
糖尿病には炭水化物の取りすぎは良くないと医師に言われたので、白飯は食べないことにします。
薬剤師
HAMAYO
そのヤル気はすばらしいですね。けど、やりすぎは長続きしませんよ。まずは夕飯の白飯は控えることから始めてみませんか?

長続きするコツ

成功体験を積んでもらえるように、絶対に失敗しないくらいの目標から始めることが大切!

  • 少なめ・よりやさしく・簡単に
  • 複数よりも、まずは1つから

1-3.無理に指導しないこと

運動・食事療法に関心がない患者さんに無理にさせようとしてはいけません。最初から財布をだしているような患者さんに、長すぎる指導や薬に関する執拗な質問は嫌がられます。

メーカーのパンフレットや薬わかるの指導せんを使って、簡単な指導を積み重ねていくことが大切!継続すれば必ず患者さんの心がひらく瞬間が必ず訪れます。


NG対応

患者
いつもと同じ薬でしょ。体調も別に変わってないよ。今日はいくら?
薬剤師
いつもと同じお薬ですね。低血糖は大丈夫ですか?

達人対応

患者
いつもと同じ薬でしょ。体調も別に変わってないよ。今日はいくら?
薬剤師
HAMAYO
お元気そうで何よりです。良かったらこんな指導せんがあるので、見といてください。

関心がない患者への対応方法

財布をだし・空返事ばかりの患者さんには指導せんが効果的です。

  • 長い・確認だけの服薬指導はさける
  • 検査値・副作用を聞きすぎない
  • 情報提供は、1つのことを簡単に指導する

薬わかるが提案する
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1-4.第3者を活用する

1人の患者さんで成功した体験は、他の患者さんでも使えるコトがあります。服薬指導の場にはいない第3者をうまく活用することで、患者のヤル気をコントロールすることができます。

同じ薬局に訪れる患者さんがこれで上手くいった例とか親近感がわきやすいですよね。くれぐれも個人情報はださないように気を付けてください


NG対応

患者
医師から減塩するように言われたんですけど、何かいい方法ってありますか?
薬剤師
漬物やお味噌汁を減らすだけでも違ってきます。

達人対応

患者
医師から減塩するように言われたんですけど、何かいい方法ってありますか?
薬剤師
HAMAYO
こちらの薬局に来ている患者さんが、塩を「やさしお」という減塩タイプに変えたら良かったと言っていました。◯◯さんもこれで成功したっていう方法があったらぜひ教えてください。



2.食事・運動療法は現状把握から始める

運動・食事療法をすでにしている・もうやめた・以前はしていた患者さんなど、いろいろなパターンがあります。まずは現状把握から始めてみよう


患者
体調はいつもと変わりないよ。血圧も130くらいだったかな。
薬剤師
HAMAYO
さすがですね、お元気そうで何よりです。◯◯さんは運動や食事でどんなことを気をつけているんですか?良かったらなかなか血圧が下がらなくて困っている患者さんがいるので教えてください。

2-1.ベネフィットを伝える

運動・食事療法をすることで、患者さんにとってどのような利益があるのか。より現実的にイメージできるように伝えることが大切です。

例えば、血圧が下がるというメリットよりも、薬を減らせるというベネフィットを伝えるようにしましょう。

ベネフィット例

  • 薬の数が減ると、医療費も安くすみます
  • 検査値が下がると、合併症のリスクも減ります。
  • 薬に頼らない生活に戻れるかもしれません。

2-2.簡単な目標を持たせる

何をするにも目標は大切です。いきなり高め・複数の目標をもっても達成することは困難!まずは絶対に達成できるような目標を持たせて、次の服薬指導につなげましょう。

患者を動機づけるスキル
影響言語を知りましょう!

病気を治す服薬指導!患者を行動させる影響言語とは?

2016.10.05

3.まとめ

これから薬剤師に求められるのは運動・食事療法で患者を動かすスキルです。あなたも試してみませんか?

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ABOUTこの記事をかいた人

薬わかるー指導せんー:管理人
調剤薬局勤務:研修認定薬剤師

京都薬科大学卒。大手調剤DSチェーンにて管理薬剤師を経験後、調剤薬局に転職。2015年10月より薬わかるー指導せんーを設立、薬の基本が一目で分かる最高の指導せんをあなたにお届けしたい!