ハーボニー偽薬問題に全国の薬局経営者は震撼したのではないでしょうか?
「うちの薬局じゃなくて良かった」
「あの卸との取引はやめようかな」
みなさん思うコトは多々あるでしょう。
実は、信頼から成り立つ取引にはすべてリスクがあります。
卸だけでなく薬局間売買・分譲も例外ではありません。
1.ハーボニー偽薬問題とは
奈良県に本社をおく薬局チェーン「サン薬局」の複数店舗で、ハーボニーの偽造品計5本が見つかった問題です。
1-1.ハーボニー配合錠とは
ギリアド・サイエンシズが販売するC型肝炎治療薬です。
治療率100%・高すぎる薬価で、発売当初からいろいろと話題の医薬品です!
1-2.発見は患者からの連絡
患者から「錠剤の色が違う」と薬局に相談があり発覚しました。
ハーボニー配合錠はボトル包装のため、薬剤師が中身を確認することはありません。
まさか日本で偽薬が紛れ込むなど考えていないため、調剤した薬剤師が発見するのは不可能かと思われます。
1-3.現金問屋の可能性
現金決済を前提に安値で商品を卸す問屋のことを現金問屋と呼びます。
真相はまだ分かりませんが、偽ハーボニーは正規の卸ではなく、現金問屋から仕入れられたのではないか、と推測されています。
2.薬局の信用リスク
サン薬局を悪意ある卸に偽薬をつかまされた被害者で済ませていいのでしょうか?
2-1.薬の調剤は納品から
今回のハーボニー偽薬問題から薬局経営者は早急に取り組むべき課題が見つかりました。
出どころの分からないような激安の納入価を掲示する卸とは取引しないほうがいい!
薬価差益に目が眩んで、薬剤師として果たすべき本質を忘れてはいけません。
患者に安心・安全にお薬を飲んでもらうために最大の企業努力をする必要があります。
2-2.地に堕ちた薬局の信用
たとえ薬局に責任がなかったとしても、このような問題があった薬局からお薬をもらいたいとは思いません。
それどころか、医薬品業界全体の信用にかかわる問題に発展しそうな勢いです。
3.薬局間売買・分譲も注意
薬局が正規ルートの納品からではなく、ネット売買・分譲から仕入れた医薬品で調剤するケースはよくあります。
このような信用取引にはモラルだけでは片付けられないリスクが潜んでいます。
3-1.期限切れ医薬品
包装にロット番号が書かれていない場合、期限切れかどうかチェックするのは不可能です。
悪意ある薬剤師によって期限が偽造された医薬品を調剤してしまうリスクがあります。
3-2.粉薬・水剤の充填ミス
見た目で判別がつかない場合、正しい医薬品かどうかチェックするのは不可能です。
悪意がなくても、充填ミスで違う医薬品を調剤してしまうリスクがあります。
3-3.軟膏・クリームの目減り
ヒルドイドソフト軟膏など開封口がない場合、少し目減りしていてもチェックするのは困難です。
一部使用した軟膏・クリームはマジックで印を入れますが、これが出来ていない薬局は意外と多い。
4.信用は見えない積み重ね
患者との信頼関係は服薬指導でしっかり情報提供していけば、少しずつ積み重なっていきます。
しかし、このような事件や調剤過誤があれば一瞬にしてなくなってしまう。
現場で患者と真剣に向き合っている薬剤師を最大支援するコトこそ、薬局経営者の役割ではありませんか?
利益も大切ですが、薬剤師としての使命を忘れてはいけません。
5.まとめ
全国の薬局経営者は本当に信頼する取引先を絞るいい機会かもしれません。