こちらの記事は薬剤師および医療関係者向けに書かれた記事です。
分割調剤の処方せん(医師の指示)が総合病院を中心に増えています。業務が増えるだけと思われがちですが、大手ドラッグストアを中心に患者の囲い込みはすでに始まっている。今回は、スマートな分割調剤の対応方法をご紹介します。特に門前薬局の薬剤師は必見です!
1.分割調剤(医師の指示)の算定方法
処方せんの備考欄に小さく「分割指示30日3回分」のように記載があります。文字が小さく書かれていることが多いため見落とす可能性が高いです。処方せんの備考欄はよく確認する習慣をつけてください。
- レセコン入力~服薬指導
- 処方せん原本を返す
- 服薬情報等提供料を算定する
初めて対応する場合、必ずといっていいほどトラブルが発生します。まだ分割調剤をしたことがない薬剤師は、レセコンの入力から処方せんの備考欄記載まで必ずシミュレーションをする!※レセコン入力は各レセコン会社にお問い合わせください。
分割調剤の途中であるときは処方せんを患者さんに返す必要があります。処方せんの備考欄に記載事項を忘れずに書いてください!2回目以降違う薬局に行かれた場合は処方せん原本が薬局に残りません。調剤録の保管のみで保険上は問題ありませんが、念のため処方せんコピーと調剤録を一緒に保管しておきましょう。分割調剤が終わった場合は、処方せんを回収してください。
・ 調剤年月日
・ 調剤日数
・ 調剤した薬剤師名
・ 薬局の名称および所在地
2回目以降、医師に服薬状況について報告する必要があります。体調変化、飲み忘れ、副作用、他科受診などの服薬状況を報告することで服薬情報等提供料を算定します。次回、何を聞く必要があるか薬歴に伝言を残してください!「かわりなし」だけでは医師に報告する意味がありません!副作用や併用薬など必ず確認しておきましょう。
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2.ドラッグストアに追い風
分割調剤がドラッグストアにもたらすメリットは患者さんの来局頻度が増えることです。今まで1回のところを3回来局する必要があります。ドラッグストアは来店頻度を増やすために処方せんを始めたのをご存知でしょうか?来局頻度が増えれば店内の雑貨や食品などを購入する「ついで買い」が発生します。実は、営業時間の長さや土日祝の開局をPRして、すでに患者さんの囲い込みは始まっている!
2-1.病院に行かなくてもOK
わざわざ家から遠い門前薬局に行く必要がない。門前薬局に患者さんが行く理由は何でしょうか?ずばり近いからです。分割調剤で病院に行かなくてもお薬がもらえるようになれば利便性のいい家の近くのドラッグストアでお薬をもらうようになります。
2-2.開局時間・土日祝の利便性
一部のドラッグストアでは土日祝を含めて年中無休で開局しています。夜遅くまで開局している店舗もあるため、門前薬局に行くよりも利便性の高いドラッグストアに患者さんが流れる可能性は大きい。
2-3.豊富な雑貨・食品
お薬をもらうついでにちょっとした買い物もすることができます。ちょっとした買い物どころか何でも屋になりつつあるドラッグストア。門前薬局に行くよりもドラッグストアに行ったほうがポイントもつくし買い物もできるしメリットが大きい。
3.門前薬局ができること
今まで病院で処方せんをもらった患者をターゲットにしていた門前薬局にとっては分割調剤はかなりの向かい風になります。ただでさえ厳しい調剤報酬改定に、さらに分割調剤という逆風が吹いている。この状況を打破する方法を考えてみました。やるかやらないかは自己判断でお願いします。不利益を被っても薬わかるは一切の責任を負うことはしませんので・・。
3-1.処方せんの薬局保管
処方せんはA5~A4程度の大きさのペラペラな紙です。長い間、財布の中にいれておけばくしゃくしゃになります。自宅で保管すれば間違えてなくしたり、捨ててしまうリスクもあります。厚生労働省の通則では処方せんはお返しすることになっていまが、紛失リスクを考えれば患者の同意を得て、薬局で保管するのはどうでしょうか?
3-2.前もって準備しておく
来局予定日の7日前から薬の準備をしておきましょう!。薬がない、待ち時間がかかるといったトラブルから患者さんが他の薬局に行ってしまうこともあります。特に一包化の場合は、来局されてから作るまでに多大な時間を要するため準備がなければクレームにもなりかねません。分割調剤の患者リストを作成して管理することをおすすめします。
3-3.準備ができたら電話をする
来局予定日の7日前には薬の準備をして、患者さんに電話しておきましょう!分割調剤を始めるときは次回のお渡し日が近づいたら電話するかしないか確認をとっておくといいでしょう。
3-4.分割予定表をお渡しする
次回予定日、注意してほしい副作用、薬剤師からのコメントを書いた指導せんをお渡しします。紙のお薬手帳は双方向のコミュニケーションが本来の使い方でした。お薬手帳の本来の姿を活用しませんか?薬局名の入った店判を押してぜひ使ってください!
3-5.お得情報をプレゼント
体調変化がない患者さんは毎月薬局に行って薬をもらうだけの制度に意味を感じてくれるでしょうか?いつも同じ質問に患者は飽き飽きしています。例えばメディセオのclassAが発行しているLifeという情報誌はいかがでしょうか?体調変化がなくても疾患に関係することや生活習慣で気を付けて欲しいことを情報提供しましょう!
4.記事の分割予定表
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5.まとめ
分割調剤は病院に行かずに薬をもらえる。この制度が普及してきたときに私たち薬剤師に何ができるのか?考えるいい機会かもしれません。
お薬の準備ができましたので、またのご来局をお待ちしております。