ジゴキシンを飲んでいる患者は、何気ない症状が重篤な副作用につながるおそれがあります。副作用の初期症状を正しく理解することが大切です。今回は、ジゴキシンで注意して欲しいジギタリス中毒の指導せんをご紹介します。
1.ジゴキシンとは
主な作用は、強心作用と心拍数を下げる作用です。心房細動とよばれる不整脈の一種と心不全を合併した患者によく処方されます。
- 強心作用
- 心拍数を下げる
心筋の収縮力を高めることで、心臓が血液を送り出すポンプ力を増大させます。心不全の患者は心臓の機能が低下しているため使われます。
主に安静時の心拍数を下げる効果があります。心房細動をコントロールする目的で使われます。
1-1.有効域がせまい
加齢・併用薬の影響・脱水などの体調変化、さまざまな要因で副作用がでやすくなります。血中濃度の有効域は0.8〜2ng/mlの範囲とされていますが、高い血中濃度は死亡リスクを上げるリスクがある!最近の研究では、0.5〜0.9ng/mlとより低い血中濃度で予後の改善がみられることが報告されています。
2.ジギタリス中毒の自覚症状
ジゴキシンの服用で最も注意しなければいけないのが、ジギタリス中毒です。自覚症状を正しく理解して初期症状で止めることが重要です。
- 食欲不振・吐き気
- 目がぼやける・色がわからない
- めまいや頭痛
最も起こる頻度が高い副作用が消化器系の副作用です。食欲不振・吐き気・下痢といった症状があれば要注意。何気ない症状から不整脈といった重篤な副作用になる可能性もあります。
消化器症状の次に注意して欲しいのが、目の副作用です。光がないのにチラチラ周りが光って見える・視野が黄色・緑色っぽく見える・二重になって見える。このような症状があれば要注意。消化器症状が伴う場合は、早めの病院受診をおすすめします。
めまい止めや痛み止めを常用している場合は、これらの副作用に気がつかないケースもあります。いつもとは違った症状がある場合は、なるべく病院を受診しましょう。
3.特に注意が必要な患者
些細なことがジゴキシンの効果を上げて、副作用が起こる要因となります。次のような患者さんは特に注意が必要です。
3-1.高齢者・腎臓が弱い方
ジゴキシンは主に腎臓で排泄されるため、腎機能が低下している患者や高齢者では副作用がでる可能性が高くなります。ガイドラインでは1日0.125mgを超えての使用は避けるべきとされています。
3-2.併用薬が多い方
ジゴキシンは他のお薬の影響を受けやすいお薬です。かかりつけ医以外の病院を受診するときは必ずお薬手帳でジゴキシンの併用を伝えてください。眼科、皮膚科、整形外科など飲み薬とは関係なさそうな病院を受診するときも必ずお薬手帳を持っていきましょう。
- 降圧薬(カルシウム拮抗)
- 抗不整脈薬
- 利尿剤
- その他
ワソラン(ベラパミル)・ヘルベッサー(ジルチアゼム)・カルブロック(アゼルニジピン)
キニジン・アンカロン(アミオダロン)・プロノン(プロパフェノン)
アルダクトン(スピロノラクトン)・ラシックス(フロセミド)・ナトリックス
イトリゾール(イトラコナゾール)・リピトール(アトルバスタチン)・ベタニス、サムスカ
これらの薬を服用する場合は、副作用がでやすくなるため注意が必要です。
4.記事の指導せん
クリック ⇒ 拡大表示

5.まとめ
ジゴキシンを飲んでいる患者さんは食欲不振や吐き気がある場合はジギタリス中毒を疑いましょう。
ジギタリス中毒は脱水症状があると起こりやすくなります。水分はしっかりととりましょう!